第三十三話 ウサギガラスープ
ウサギ狩りです。
”藻埜随喜”の処理も無事に終わり、落ち着いたのでウサギ狩りだ。
地上の者は、色々探さないといけないが、自分らは索敵すれば何が何処にいるかすぐにわかる。
罠を仕掛けるというのもあるのだが、この世界では地上の狩りにおいて有効な手段ではない。
地球と違って魔物がいる世界で、生物・植物とも成長が早いため、罠が壊されてしまう。
魔物が少ない場所なら良いのだが、そんな場所はこの世界には無い。
魔素が基本構成要素の為、比率で存在するのだ。
そんなことを気にするより、ウサギを獲らないとね。
索敵して、森の周辺にいるウサギの魔物を10匹ほど狩った。
すごいカラフルだ。
赤、青、黄、緑、紫、白、黒、灰、茶などだ。
ウサギの魔物だと強さは色で変わらないそうだが、魔物によっては変わってくるそう。
傾向としては黒に近い方が強力なんだって。
まあ、全部の魔物がそういうわけでは無いそうだけど。
見識さんが調整してくれたから、魔物を発生させよう。
根田 「取り合えず10匹ほど狩ったので、使わない部分を利用して魔物を発生させましょう。」
光華 「どうするんですか?」
黒乃 「見識様が調整したけど、比率がおかしくならないの?」
玉樹 「黒乃、闇の精霊が分解処理しないようにしないと不味いんじゃない?」
黒乃 「部下には、様子を見るように指示したから大丈夫。」
根田 「ウサギの魔物の素材は、魔石と毛皮ですから、歯やヒゲは使わないので、これを使って魔物を発生させましょう。」
歯とヒゲを核にして、100匹ほど発生させ、回収した。
色はランダムで出るみたい。
取り合えず5級の大きさのは、これぐらいあればいいや。
根田 「見識さんの話だと狩った分を補充しなくても比率で増えるので大丈夫と言ってたので、大きいものを獲ろうと思います。」
鑑定したら、5級のウサギの魔物は、”カラー・ウサギ”って言うみたい。
個体差あるけど4~5kgだ。
魔石もごく小さいものだ。
まあ、お金には困ってないから、食材にできる部分が多い方が良いんだけどね。
4級のウサギの魔物も同じようにして確保した。
これは”ビッグ・カラー・ウサギ”だって。
大きさが違うだけで5級のと変わらない。
10kg前後だ。
3級のを狩ろうと思ったら、玉樹さんが森にいるせいか説明を始めた。
玉樹 「太郎様、あれですよ。私が作った、こちらの世界の固有植物”フキトールの木”です。」
玉樹さんが指さした木を見ると人の背丈程度の木で、葉がティッシュペーパーみたいな感じだ。
葉の厚みは結構あるけど柔らかい。
あれ聞いてみるかな?
根田 「玉樹さん、この木の葉って油とか吸います?キッチンペーパーの代わりになるなら、少し採ろうと思うのですが。」
玉樹 「油ですか?吸い取りますよ。排せつ行為の処理用に作ったので、拭き取ったり、吸い取れるように作りましたから。」
そう言うことなら、少し採ろう。
採ったら、3級のウサギだな。
根田 「玉樹さん、人族が使わないのなら、自分が使いますよ。キッチンペーパーの代わりに。」
玉樹 「太郎様には、私と良いことした後に使用する方向で、お願いしたいんですけど。」
ちょっと!残酷な結果が前回出たでしょう?
傷口に塩を塗るようなこと言わないでよ。
根田 「玉樹さん、性欲が残念なことになったんですから、思い出させないで下さいよ。」
玉樹 「別に地上にいる時じゃなくて、万年青に戻ってからですよ。神界用の体になれば、良いことできますよ!」
根田 「そうですかねぇ?創生の力があるから、変わらない気もしますけど。」
玉樹 「大丈夫ですよ!太郎様、性欲が無いだけで体液調整すれば勃起は出来るでしょ?後は、気持ちの問題ですから。」
その気持ちの部分が重要なんだけど。
まあ、ウサギを獲ろう。
根田 「その話は、後にしましょう。ウサギを獲りたいので。」
3級のウサギも同様にして確保した。
これはでかいね。
秋田県で改良されたジャンボウサギは、ご存じだろうか?
あれは、10kgぐらいだそうだが、これは15kg~20kgある。
魔物だからでかいね。
”ジャイアント・カラー・ウサギ”って名前だ。
食いでがありそうだ。
取り合えず聖都へ戻ろう。
根田 「ウサギを確保できたので戻りましょう。」
◇◆◇◆◇◆
神殿に戻ってきた。
詰所の食堂のマスターに調理するけど、見に来るか声かけたら、是非ということだったので、孤児院へ。
子供たちに手伝ってもらおうと思ったからね。
根田 「こんにちわ。調理手伝って貰って良いですか?」
院長 「勿論です。根田様の教えてくださる料理は、評判ですよ!料理人志望の子が、楽しみにしてます。」
根田 「ご迷惑で無くて良かったです。」
食堂で作業だ。
道具を用意して、作業開始だ。
今回作るのは、ウサギの骨のスープだ。
鶏ガラならぬウサギガラスープだ。
時空間収納で分類して、骨だけにしてある。
肉は、血抜きも完璧にして仕舞っている。
これを教えるのは、こちらでは、骨を煮出すようなことはしないからだ。
魔物や家畜の骨は、一部の強度があるモノ以外は、焼いて肥料にする程度って言ったので、肉屋に言えばタダでくれたりするみたいだからな。
根田 「まずは、ウサギの骨のスープを作ります。肉を取った骨を水か沸騰したお湯で煮出します。灰汁をとりながら、半日程度かけて、じっくり煮込みます。このスープを利用して具材を煮たりします。基本になるものですので、丁寧に作ります。出来上がりは澄んだ色で香りのいいスープになります。今回は、時間がかかる所は、魔法で処理します。自分たちで作るときはちゃんと作ってくださいね。」
皆に味見して貰った。
根田 「どうですか?」
光華 「いい匂いです。これで具材を煮込んだら美味しそうですね。」
黒乃 「いい匂い。出汁が出ている。」
玉樹 「美味しそうな匂いです。」
マスター 「骨を煮込むとこんなになるんだな。根田様はすごいな。でもいいんですか?レシピを教えて。」
根田 「別に構いませんよ。一般的でないだけで知っている者もいるでしょう。骨を煮るだけですから。」
煮込むのに時間がかかるので、他の作業を手伝ってもらう。
作るのは、クスクスだ。
デュラム小麦を買っていたのを加工する。
先ずは、二種類のセモリナ粉にしないとね。
この世界では、製粉は水車で行うか魔道具だ。
水車は、水棲の魔物が来ないように水路を作るので、小川がある村などで利用しているが、都市では魔道具だ。
ウサギの魔石があるので、それを使用する製粉用魔道具を創ってきた。
粗挽きと細挽きを用意した。
根田 「デュラム小麦を粗挽きと細挽きの二種類用意します。これを粗挽きの粒を芯にして、細挽きのをまぶすと粒になります。このように水を少量加えつつ粗挽きに、細挽きのをまぶすように混ぜます。」
混ぜやすいように、こね鉢を用意して作業だ。
これを篩でふるって、選り分ける。
完成したら、そのまま蒸して食べても乾燥して保存しても良い。
保存用は一度蒸してから天日で乾燥させる。
天日と言っても日陰で乾燥だ。
水で粉を丸めただけだからな、直射日光で乾燥したら、どうなるかは分かるだろう。
根田 「これは、クスクスといいます。乾燥すれば保存がききます。試食用に作ってみましょう。」
ウサギガラスープがあるから、これを利用する。
容器にクスクスとスープを同量入れ、これにオリーブオイルを適量追加し、混ぜて30分程度蓋をして置いておく。
時間があるので、ウサギ肉の煮込みだ。
根田 「クスクスができるまで時間があるので、ウサギ肉の煮込みを作りましょう。」
ウサギ肉、セージ、にんにく、オリーブオイル、ウサギガラスープ、玉ねぎ、にんじん、塩、胡椒を準備して、調理だ。
にんにくを潰してオリーブオイルで炒める感じで香りが出たら、ぶつ切りのウサギ肉、セージを加える。
焼き色がついたらガラスープ、野菜を加えて煮込む。様子を見ながらスープを追加して煮込むこと一時間。
柔らかくなったら煮汁を煮詰め、塩胡椒で味を調えて完成だ。
勿論、魔法を使って時短だ。
根田 「試食してみましょう。」
皆、美味しいってさ。
ウサギは、焼くより煮込む方が向いてると思う。
ウサギの素材はギルドで売ってきた。
大した金額にはならなかった。
まあ、沢山いる魔物だからね。
今回は蒸す調理方法を教えたから、あとは自分たちで工夫して。
そうそう、この世界の調理法で焼くのと煮る以外では、保存食で干し肉があるのと燻製がある。
後は、カチカチに乾燥させたパンだ。
干し肉や燻製も硬いばかりで味は期待できない。
まあ、干し肉も塩をまぶして干すだけだし、燻製も縄文式とほとんど変わらないからな。
保存優先で味は二の次って奴だ。
さて、月末の収穫祭に向けて、色々準備だな。
実際は、準備は一瞬で終わるけど。
中年のおっさんだけど神様だからね。
聖都の周りにいる魔物をいろいろ狩ってみるかな?
冬に向けて脂がのってきてるみたいだしね。
楽しみだ。
精霊たちがバニーガールのコスプレしなかったのが、今回は救いだな。
後は、”思い込み”と”ネタ披露”がウサギの糞を抹茶チョコとか暴走しなくて助かった。
なんか振りになりそうで怖いけど。
調理方法は適当です。
興味がある方は、ご自分で調べてください。




