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第二十一話 声かけてくださいよ

短めです。

光の上位精霊のふんどし姿という絵面的に放送事故で、テレビなら画面が切り替えられ、花畑などの美しい映像が映し出される状況から、何とか解放され拝殿にやってきた。


……しばらくは、ここ聖都コウゲーンに居て、色々見る予定だけど精霊石の採掘場へは近づかないでおこう。


まだ、時間的に早かったのか神官たちが、片付けなどをしている。

神殿というと礼拝とか治療とかをするイメージだけど、拝殿と孤児院にしか行っていないから、神殿の中だけでも見るところは、まだまだあるな。

ここ聖光国は、宗教国家で政治を行っている部門もあるし、研究などをやっている部門とか見るのも良いだろう。

地球と違って魔法がある世界だし、魔道具の研究などもやっているだろう。

そういえば、農業国だから植物の改良もやってるかもしれないな。

まあ、焦らず見ることにしよう。影響を与えるとしてもゆったりした形でないとね。

治安の悪い地域も見るから、生物を殺める必要も出てくるだろう。知的生物も含めてね。

この辺の意識は、地球にいた時から罪悪感というのは感じないタイプだ。

別に殺人はしていないぞ!したいとも思わないし。

ただ、自身に害を与えるものは、排除するのは当然という意識があるだけだ。

農家をやっていた影響もあるかもしれない。

必要もなく駆除などはしないが、害があると判断すれば逡巡しない。

おっと、話がおかしくなってしまった。

大精霊たちを召喚する演出を考えないと。


根田 「光華さん、祭壇のこの辺りに来てもらう感じで大丈夫ですかね?」


祭壇の前の広くなっている場所を指さして聞いてみた。


光華 「大丈夫だと思います。属性の大精霊も世界樹もここの広さは知ってますから、問題は無い筈です。」


根田 「ん?皆さん来たことあるんですか?」


光華 「勇者の件で集まったりしましたからね。神殿の建物は修繕はしてますが、場所と広さは昔と変わりませんから。」


根田 「ああ、勇者の件で集まったことがあったのでしたね。それじゃあ、顕現する順番とか配置とかはこちらで指定したりしなくても大丈夫ですかね?必要なら連絡しようと思ったのですけど。」


光華 「その辺は大丈夫ですよ。向かって右からで、土、水、風、火、闇、世界樹の順番は、お約束になってますから。」


根田 「なるほど。では、自分が召喚する文言を考えるだけですね。」


光華 「難しく考える必要ないと思いますけど。出てくるのに演出するでしょうからねぇ。」


光華さんが、片眉を上げてムッとしながら言った。


根田 「光華さん、我々も光とともに顕現したのですから、派手と言えば派手な演出ですし、その辺は文句言わないようにしましょう。」


光華 「太郎様は、目立つので嫌そうでしたけどね。」


光華さんが、クスクス笑いながら言った。

しっかり見られてたか。

日本にいた時、いろいろあって、目立つの嫌いなんだよ。

目立つと碌でもないことに巻き込まれるのがオチだしさ。

嫌なことを思い出しても仕方がない。

神という敬われる存在になったのだから、責任は果たさないとね。


根田 「まあ、確かに目立つのは嫌いなので、申し訳なかったです。ハレの舞台ですもんね。神や精霊の顕現とか。反省してますよ。神殿の人達にも微妙な顔されましたし。慈悲をかけたので、勘弁してくださいよ。」


光華 「フフッ。責めてはいませんよ。全く、太郎様は、真面目で優しいですから、大好きですよ!後でキスでもしときますか?光の大精霊の祝福ってなもんで。」


何おっさんみたいなこと言ってるんだよ。

嫌だよ。

確かに、美女というか今は、美少女の姿だけどさ、そんなことしたら事案発生だろう!

危機管理は基本だぜ。


根田 「からかわないでくださいよ。モテないおっさんに、美女がそういうことを言うのは、いじめですよ。雑談はこの辺にして、召喚の演出です。魔法陣的な物を表示するとか必要ですか?」


光華 「別になくていいと思いますよ。召喚の文言言えば、聞いているでしょうから、タイミング合わせて出てきますよ。ほら、あそこ。」


光華さんが指さした方を見ると不可視モードで大精霊たちが手を振ってるよ。

おい!居るなら声かけろよ!

ちゃっかりタイミング計るなよ。

演出の相談聞かれるとか、カッコ悪いな。


根田 「何だ、居たんですね。声かけてくれればいいのに。」


光華 「いや~、そこはお約束でしょう?」


何がお約束なんだよ!

体は疲れないけど精神的にまいるな。

すぐ回復するけどさ。


根田 「じゃあ、呼び出すときは『属性の大精霊よ、世界樹の精霊よ、我、ネタの神、根田太郎の名において、光の大神殿に召喚す、我が求めに応じ、顕現せよ!』こんな感じで呼びますんで、皆さんよろしくお願いします。」


精霊たちに頭を下げた。

皆、ニッコリして、OKのジェスチャーなのか指で丸を作った。

ジェスチャーは国や地域で意味が違うから確認しないと。

ここは、国どころか世界が違うからな!


根田 「光華さん、皆さんジェスチャーで答えてますけど、了承で良いんですか?こちらのジェスチャーは、まだ知らないので確認させてください。」


光華 「ええ、了承です。基本的に日本のサインの意味とこちらは変わらないです。こちらに無いものを表現するのは、通じませんけど。」


根田 「それは、そうですね。」


演出の相談もできたので、神殿の皆さんが集まったら召喚だな。

実際は、もう来てるけどさ。

神官が片づけをしていたから、神族は不可視モードになって待機している。

演出の相談は通常モードでは、聞かれるから不味いし。

しばらくしたら、大神官長たちが集まってきた。

さて、不可視モードから通常モードに切り替えるか。

優しい光をまとうイメージで現れてみた。

気分を盛り上げるためにサービスだ。

神殿の関係者が集まるのを待って、召喚ショーの始まりだ。


次回へつづく。

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