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リザード族を超える為の戦法

「完全に信用してるの?」

「うーん信用というか利害関係の一致とかそんな感じかな。ひょっとすると趙さん自体が誘き出す為の罠かもしれない。ヴェルさんに言ってその辺りを探ってほしいって頼んでくれないか?」


 シルフは嬉しそうに力強く頷いて僕の下から離れた。正直劣勢である事は一応真実だと思う。問題はそれ以外。ジャンさんはまだしもグルヴェイグさんが娘に関して耐えられるかどうか。


僕には推し量ることは難しいけど、気持ちを抑え続けるのは無理がある。何より向こうも監視しているはずだ。となれば引き込む事を考えるのが自然。恐らく侯爵はそれを感じて行ったのだろうと思う。


「僕も行きたいのは山々だけどなぁ」


 呟いた後は食堂で待機していると、親分たちを連れてアステスさんが入ってきた。状況を話しヴェルさんの指導の下農作業をしつつ、鍛錬に励んで欲しい旨を伝える。


「一つ良いか?」

「どうぞ」


「リザード族の事だが、あいつらは戦闘に?」

「勿論参加して貰わざるを得ない。今のところうちは戦いに関しては彼らが頼りだ。親分たちの修練の結果次第と思っていたけど、状況が今迫っていてるから……。主力としてリザード族、ダークエルフが中衛になる」


 それを聞いて親分たち三人は顔を見合わせる。


「オレたちもそれなりに出来る」

「そうだ。住処を奪われた上にここでも前に出られたら」


「勿論。僕は当然皆にはしっかり前に出てもらって、いの一番に協力を申し出てくれた部族としてアピールして貰いたかったんだけどね……」


 嘘をついても仕方がないけど、現状のまま戦うなら後方で支援してもらうのが戦場を混乱に陥れない唯一の方法だ。


「何か無いのか」

「オレたちもやる!」


「策が無い事は無いんだけど……」


 そう、リザード族ではなくボブゴブリンたちが前に出て前線と地位を確立する方法があるにはある。オークよりも背が低く、僕と同じくらいの背丈そして体系はずんぐりむっくり。


僕は素人だ。だけど図書室の本を見せてもらったり、侯爵やグルヴェイグさんにジャンさんに教えてもらったり演習をみたりして気付いた事がある。


前線が硬く通さなければ、中衛後衛が動きやすくなる。要するに親分たちに防御に徹して貰い絶対に通さない壁になってもらう。そして相手が痺れを切らして動いた時に突撃して突き崩す。


これはリザード族にも無理だしダークエルフにも無理な戦法だ。一撃が致命傷になり兼ねない。背が低い分小回りも聞くし、足も短い事で対策もしやすい。


「正直上手く行かない時は辛いと思うけど、決まれば親分たちが一番だ。地味で辛い所だけど死なない事生き延びる事だけを最初は考えて耐えてる」


 親分たちはざわつく。まぁ仕方ないよなぁ地味だもんなぁ。正直前衛にはリザード族に何とかお願いしてと考えている。その代り耐久は出来ないから速攻で中衛後衛が撹乱し分散させて突き崩す。


「考えておく」

「そうしてくれて構わない。取り敢えず今は目の前にあることを一つ一つやっていこう。親分たちが一番最初に手を貸してくれたことは僕は忘れてない。それは忘れないでほしい」


 親分たちは大人しく食堂を後にする。


「アステスさんはどう思う?」

「彼らの事を考えて現状唯一出来る方法かと」


「しょうがないと言って諦めるのは簡単なんだけどね。僕なりに考えてあとは親分たちに諦めるかどうか選択してもらう。そうした方が悔いもないかなぁと思って」

「そう思います」


 何にしても時間がない。遅かれ早かれ攻めてくるだろうけど、出来れば一刻でも遅い方が良い。今回の流れが吉か凶か分からない。ただそれを捻じ曲げたり堰き止めたりせず乗って行くのが今回は正しいと思う。


「まぁ流れを堰き止めるほどの力もないんだけどねぇ」

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