グルヴェイグさんたちの動き
「ふむふむ」
趙さんはまじまじと僕の顔を見ている。なんだろう。
「人相は……うーんまぁ大変そうですネ」
「え!? 何ですいきなり気になります!」
僕が抗議するように言うと、趙さんはニヤニヤしている。からかっているのだろうか。
「なるほどなるほどお若い指揮官は喜怒哀楽が激しくてらっしゃル」
「ど、どうも」
「吉といえば吉、凶といえば凶」
「また曖昧な……」
「吉凶はその時々の流れの中で現れるもの。貴方の人相はその時々の流れに乗れれば吉、乗り損ねると凶。ですがある程度の荒波には乗っていけるしなやかさを生まれつき持っていらっしゃル」
「あ、ありがとうございます」
「あれれ。君は占い師なのかな?」
「本業ではありまセーン。商売は流れを読む事が大事です。ですが必ず全ての流れを読める訳ではありまセン。しかしその読み違えた一回で滅ぶ事もある。なので色々情報があれば完全とはいかなくとも、良い読みは出来ますし、ギリギリで命を拾う事もありまス」
「で、君は私たちは勝てると読んだのかね?」
「当然でしょう。熱病にでも浮かされてなければ、大国に戦争を仕掛けようなんて暴走はしませんしそれを止めるでしょう。何より足場がグラグラしてるのに虚勢を張っているのがもウ……」
趙さんは手を広げて天を仰いだ。僕も話だけ聞いているけど、やっぱりグラディウス国と戦うのはそれだけ無謀な事なんだなぁ。
「趙さんはずっと首都に?」
「ああそうですそうです。で、そこでジャンさんと会いましテ」
「ジャンさん!?」
「そうですジャンさんの紹介で貴方に会いに来ました。取り敢えず会ってみるだけって事で」
「ジャ、ジャンさんは大丈夫ですか!?」
「あの方は別格ですよ。貴方とはどうだったか分かりませんが、軍人として一級品です。客観視できて生死を冷静に判断出来引くのに迷いが無イ」
「というと戻ってくるのかな?」
「いいえー。あの方のそれは訓練され経験を積んで出来たもの。元々持っている気は好奇心が強く自信家の色をしている。故に康紀くんと相性が良かったのでしょウ」
「そうですか……」
「まぁ帰ってくるでしょう。グルヴェイグさんが中々アグレッシヴな方で」
趙さんの話によると、ジャンさんとグルヴェイグさんとは首都で会ったとの事。その時二人は商人を探していて、ギルドなどにも顔を出していたので気になって趙さんから接触したようだ。
「正直心躍りますよネ。力と力のぶつかり合いっていうのも好きではあるんですけどキャラではないのデ。計画を聞いた時会ってから決めると言いましたが、ワクワクを止められなくテ」
「圧勝できる保証はないけどねぇ」
「冷めるような事を言わないでくださイ。圧勝も可能でしょうが逆境からの逆転、その達成の瞬間こそ至れる」
「君はドMなんだねぇ」
「趙さん、そんなに僕たちは劣勢ですか?」
侯爵に趙さんがツッコもうとした時に僕がそう問うと、ツッコもうとして振り上げた手を僕に向けた。
「勿論です。情報収集がまだのようですが、簡単に言ってしまえば兵力が足りない。侯爵様、訂正してください。私はドSでス」
「まぁはっきり言って地の利を生かして戦おうと私は考えていてね。それならドロドロの沼に引き込んで勝てそうな気がしてるんだ。ちなみに君はドMだよ」
趙さんと侯爵は見詰め合うというか睨み合うというか……若干緊張が走る。
「という事は今戦いが起こるのは不味いですね」
「あ、そうだ。それで君たちに話があるんだ」
「なんでしょう」
「ジャンさんとグルヴェイグさんが首都に居る間に、首都で一騒ぎ起こしたらどうかなぁと思っテ」
「なるほどねぇ……グルヴェイグたちの動きが分からなかったらこちらも防衛に意識を注いでいたけど、今戦えば最終的には負けるしねぇ。時間稼ぎに良いかも。ただ藪蛇は不味い」




