デフラグ
「社交性があったらもっと上手く行ってたと思いますけど」
「ベストでは無いがベターでずっと来ている」
「ありがとうございます。そうであれば良いんですが」
「グッドくらいの気持ちでいるのかもしれないけど、ベターだよ。正直もっと纏まりもなく戦いが始まるんじゃないかと思って冷や冷やした位さ」
「ですが、エルフが」
「あああれね。寧ろこれは君に有利に働くと僕は見ているね」
楽しそうに話す欧米人の少年。僕は全く楽しくないんだけど。
「いやぁ僕はまだ見ている事しか出来ないからね。生憎防御が硬くてこうやってうすーい穴を通り抜けて、分からないように行に紛れて接触するより手段がなくてさ。流石に膨大な量の行をチェックする余裕はないらしいからね。偽装も完璧だし。というか元々僕が手掛けたんだから当たり前ではあるんだけどね」
行とかなんとか何を言ってるのかさっぱり分からないので、ボーッとしながら聞いている。
「まぁ剣はもう混ざり物が多すぎてどうなるか分からないけど、その分あっちに注視してるからこうしてこっちに僕は来れたわけだ。で、あのデムは今デフラグをしてる最中で再起動しなくちゃならないし、それまで君と交流しようと思って」
「ど、どうも」
デフラグってあのパソコンのデフラグなんだろうか。デムは機械……? まさか。
「この作業が終わればまた君とデムのリンクは早くなる。起動当初は当たり前だけど真っ白な状態だったから、片っ端から情報やエネルギーを取り込んでいた。その所為で本来なら効率的に起動出来るものが時間もエネルギーも掛かりすぎて、君の力もゼロになったんだ」
「そういうのって僕では何とかならないんでしょうか。度々倒れてるとそのうちやられちゃいそうで」
「うーんまぁ追々ね。デム自体も今は改良に改良を重ねている。何れ君と直でやり取りして改善していくだろう。ただそれまでには経験が必要だ。君と同様にね。僕もそれまではフォロー出来るだけするよ」
「あの、デムって何ですか?」
僕の言葉に少年は空を見ながらうーんと唸った。
「まぁ君が聞いた星の護り、というので間違いない。そのものの意味だ。この星を破壊させない為の守護者のようなものだよ。ユグドラシルだけでは守りきれないし、彼女が表だって動くと相手の思惑にまんまと嵌ってしまうんだ。こっちはそれに嵌らないように、力を貸してくれる君みたいな存在に頼っている」
「僕が何かしているんでしょうか」
「君が今している事そのものが星を護るために重要な行動だと考えていい。勿論全て正解とはいかないだろうし、過ちも犯すだろう。が、最終的には星を護る力をちゃんと使ってくれる」
「それって僕の意思関係無に発動する力ですか?」
少年は難しい顔をした。何か裏があるのか?
「そうだね、まぁ掻い摘んでしか今は話せないけど、星を滅ぼすどころか全て無かった事にしようとした時にそれを防ぐ事が出来る。ただし今は出来ない。故に君と共に強くなる必要がある」
「その無かった事にしようとする事は悪なんでしょうか」
言い終わって暫くして、彼は興味津々な顔で
「興味深いね! 君ゲームする!?」
と尋ねてきた。顔が近くなり圧に負けて下がりながら頷く。
「例えばある敵に極稀に落とすアイテムがあったとしよう。手段は色々あるけど、一番手っ取り早いのはリセットしてやり直すことだ。更に手っ取り早いのはその敵が出た瞬間をセーブして何度も繰り返すこと」
「それってデータを弄ってアイテムを出せばいいんじゃないです?」
「それだけは出来ないんだよ。その主はゲームそのものを壊したいわけじゃないんだ」
「む、難しい人ですね」
「まぁそれはそれとして。そのリセットしてやり直す行為のリセットされる中に君自身がいたらどうする?」




