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魔術でもなく呪術でもなく

「わ、私が酷いのとアンタが何の関係があるのよ!」

「……康紀、私にそのクソガキ……もとい魔女の孫を生贄として差し出してください。悪いようにしません」


「どうぞ」

「まてまてまって!アンタ良いもんでしょ!?アタシを差し出すなんて悪魔の所業じゃないのさ!」


「知らないです。別に良いもんも悪いもんもないし。五月蝿いの嫌いだし実際巻き込まれたくないし」

「良い心がけです康紀」


「アンタって人はーー!!」

「やめてよねピンクさんが僕に敵う訳……ない」

「きぃいいいいい!」


 そんなこんなしている間に、後ろの方でガサガサしていたものが、

堪らずなのか出てきた。


「気が済みましたか?」

「おや坊や。私に気付いていたのかい?」


「音がしました。生憎音に敏感な性質で」

「あまり良くないね。病むよ」


「病んで病みつくして、果てに来たんで。生きてるのかそうじゃないのか、今は解りません」

「……グルヴェイグ……よくもノコノコと私の前に姿を現しましたね……」


 ピンクさんの脇に立つローブを着た女性。少しピンクがかった白髪を

リーゼント風に後ろに前髪ごと持って行き、後ろで縛っていた。


目はきりっとしていて鼻は高く、口は口角が上がっている。とても綺麗に年を

取っている女性だなぁと感じた。


卑屈さは微塵も感じさせない。ピンクさんはこの人の若い頃と言っても良い。

若干垂れ目だけど。


「ええスクルド様お久しぶりでございます」

「……私の逆鱗を突くような真似をするのですね。良いでしょう。七代進んだところで解けない特大の呪いをお前の血筋に掛けてやりましょう。お前には私を裏切った罪で死ねなくしてやりましょう。地獄を見せてやりましょう。終わり無き地獄を」


「年を取ると、人の話を聞かなくなる。私はそうならないように気をつけていました。周りに人が居るってことは、そういう事に気付けるってことなんですよスクルド様。復讐だけで生き続けられはしない」

「……神に説教をする気ですか……?つけあがるなよ人間!」


 なんだかなぁ……女性が全てそうだとは思わないけど、僕が見る女性って

何でこうもヒステリックを起こす人が多いんだろうか。泉の美人も目を

かっぴらいて充血させてるし……。


「ああそうだ」

「あ、アンタこんなところで声出したら殺されるわよ!」

「まぁまぁ。怠惰の結界(スロウスサークレッドプレイス)


 僕は結界を発動させる。


「なっ!?康紀何をするのです!?」

「……これはキツイ事をするね坊や」


「取りあえず二人ともキレないで冷静に話してもらえます? それ以上やるっていうなら指先一つ動かすのが嫌になるまで結界の中で倒れてもらいます」

「ば……馬鹿な……この私が……」


「……冗談じゃないようだね」

「嫌いなんですよ僕そういうの。ヒステリックを起こしたいなら一人のときやってください。全力で拒否します」


 結界内が振動し始める。それと共に泉の女神は泉に膝を突き突っ伏し、

グルヴェイグさんも突っ伏した。ちなみにピンクさんは這いつくばっている。


「な、何なのですこの力は……」

「不味ったね……こんなもの解けるわけが無い」


「どういう事ですグルヴェイグ」

「どういう事も何も、これは世界の、星の力。魔術でもなければ呪術でもなく、神術でもない。大神も主神も関係ない。術と言うより生まれ持った能力のようなもの」


「ば、馬鹿な……」

「なんだか解りませんが理解してくれました?なら結構。次ヒステリー起こしたら止めませんよ?」


 僕は結界を解く。もっとも頭痛が酷かったので解きたかったから

解いただけだけど。それと気付かれまいと平気な顔をしていた。


「どうやら、必要なものは届いたようだ」

「そのようですね……貴女が何をしたのかは知りませんが、与えた分の仕事はしたと見て良いのかもしれません」


「さて、それは最終回まで見てもらわないとそうだとは言えません。それに勘違いして貰っては困ります。私は復讐を忘れたとは言っていない」


 どうやら美人と魔女の話はついたようだ。

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