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怒れる泉の美女

「開放はしないよ?君みたいな凶暴なのは話を聞いた後ギルドに引き渡す。僕ら燃やされそうになったし」

「だな。まさか焼き殺そうとしてタダで済むなんて事があると思ってないだろ?」


「穏やかな場所なんて無いなら尚更ね」

「……解ったわ。煮るなり焼くなり好きにしなさいよ!」

「ギルドに引き渡すだけだよピンクさん」


「そうそう。生憎と君には俺の興味が一ミリも湧かないんだピンクくん」

「ピンクピンク言うな! 誰も好きでピンクなんじゃ……」


 そこから大絶叫号泣。頭が音でかち割られそうな気分になる。五月蝿いの嫌いだ。


「ギルドに突き出されたらおばあ様に八つ裂きにされる!ただ何か森で良くない事が起こってるかもしれないから見て来いって言われただけなのに!何でよ!」


 ジャンさんと顔を見合わせる。泣き疲れたピンクさんは深呼吸した後、

僕たちにそう語った。森で良くない事? 僕としてはあの泉の美人が良くない事

なのではないかと一瞬思ってしまった。


「何でよって言われても……なぁ?」

「どうします?そのおばあさんに会いに行ってみます?」


「え?マジで?康紀、お前ってば物好きというか御人好しと言うか……」

「んーまぁギルドに突き出しても特に意味は無いでしょうし、もしかするとそのおばあさん悪い奴かもしれないし」


 ジャンさんは一瞬考えた後首を横に振った。


「俺は止めておく。体を動かしてた方がマシだわ」

「じゃあ僕は行ってきます。何か収穫があれば良いなぁ」


「取りあえずお昼までは待つよ。でそれでも帰ってこなかったら探しに行く」

「解りました。じゃあ通った道に何かしら目印を置いて行くんで、それをおってきてください。ゴブリンたちには……」


「あー良い良い。俺も実はやってみたい事があってな。DIYは日本よりアメリカとかカナダの方が盛んなんだぜ?」

「解りました。くれぐれも同士討ちとかしないように頼みます。後この子たち、もし逃げるようなら逃がしてください。今は柵も無いし」


「OKOK。それも含めて任せてくれ。安心してその物騒なピンクを返還して来てくれ」

「人を厄介者みたいに言うな!」


 僕とジャンさんは苦笑いをしつつ、僕はピンクさんの縄の端を引っ張って歩き出す。

寝不足というか少ししか寝てないので大分眠いけど放置しておけない。


「ピンクさん、どっちに行けばいいです?」

「……ピンクさんじゃねーっての。あの左側の山の麓」

「ありがとうピンクさん」


「意地でも名前は言わないわ」

「解ったよピンクさん」

「きぃいいいいい!」


 ヒステリックだなぁ。うちの母親みたいだ。そう思うと少し暗い気持ちになるが、

今は頭も気持ちも切り替えないと。どうなってるのか解らないし、

死んだら終わりかもしれない。


現実とどう繋がっているか解らないから、おいそれと死ぬわけにも行かないんだ。

 森に入り暫くすると、泉のそばを通る。


「……あれ、ここにも泉が?」

「なんでここにこんなものが……」


 俺とピンクさんは同時に声を発して顔を見合わせる。すると次の瞬間、

泉から何かが現れた。


「こんにちはお二人さん。康紀はお久しぶり。魔女の孫は初めまして」


 泉の美人が再び現れる。こんな気軽に現れて良いものなのかな?


「な、ななななな!?アンタだれよ!?」

「私ですか?私は……取りあえず貴女より、そして貴女の祖母より偉い者です。貴女の祖母に私は貸しがある。それを忘れて森の主気取りとは捨て置けません」


 どうやら怒っているご様子だ。僕は出来れば女性同士の争いに

巻き込まれたくないのだけれど。


「貸しって何よ!」

「貴女の祖母のしている研究に、それに辿り着けるよう知恵と技術を提供しました。だのに一向に進んでいません。それどころか子孫を作ったと言うのにこの酷さ……。私に対する侮辱意外何者でもありません」


 静かに大激怒しておられる。まぁピンクさん酷いモンね実際。


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