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コードネーム”D.E.M”

「世界に留まりし風よ、その余剰を我に与え、吹けよ風!」


 シルフの詠唱の後、突風が後ろから来る。僕はすぐさま伏せてやり過ごす。

何故身動きが取れないのか良く分かっていないが、アステスさんが風で湯気をと

言っていたから湯気が関係しているのだろう。


「姑息な真似を……!」

「大将同士裸の付き合いっても必要じゃない?」


「必要ありません」

「あらあらお子ちゃまには分からないのかしらね」


 声と音しか聞こえないけど、ヴェルさんが対等にやれているのかそれとも

アステスさんが手加減しているのか分からない。


アステスさんにも稽古を付けてもらっているけど、全く本気でない事は最近良く分かる。

本気ならあっさりやられているはずだと、何となく肌で感じている。


ただふと以前僕の部屋が荒れていてアステスさんが休暇を取った事を思い出した。

あれはなんだったんだろう。彼女をあそこまで追い詰め、そして退けた力。


僕の寝室に何かいるのかそれとも……。


「きゃあ!?」

「しまった!」


 僕は悲鳴に驚いて顔を上げると、背を向けてヴェルさんらしき人が突っ込んできた。

これはアカンこれはアカン! けど僕は未だに体の自由を取り戻せないままで、

成す術無く激突するのを見るしかなく。


「あーあ」


 シルフの呆れた声を最後に温泉の中に沈んでいく。そこまでなら何とかなったかもしれないけど、

何故かもう一つ飛び込んできた……。恐らくアステスさんだ。着衣水泳って難しいのに大丈夫なのかな!?


「がぼぼぼ」


 華麗なアステスさんからは想像できないばちゃばちゃした動きが視界に入る。

ヴェルさんは気を失っているのかもしれない。これはホントに不味い事になった。


何とかしないと温泉で溺死する事になる……! サスペンスドラマじゃないんだぞ!


―危険区域に突入。守護者の生命維持に支障確認―


 アラート音と共に頭の中にクリアに響くアナウンス。とても機械的だ。


―星の護りは守護者と共にあり。全てを置いて優先される―


 な、何をするつもりなんだ……? 星の護りって僕のあの力じゃないのか?


―我顕現す―


 その声が聞こえた途端、僕の背中から大きな手が現れ僕を優しく包み込むと

周りの水が退いて呼吸が出来るようになった。


「こ、これは……」


―脳内に干渉した物質を除去します―


 大きな手から緑色の煙が現れ僕を包む。メロンのような匂いがした後

大きく吸い込むと薬のような苦い匂いに変わり、咽そうになる。


―バイタルの回復を確認。浮上します―


 僕はそのまま温泉から上がり、宙に浮いている。下の方ではアステスさんが

ヴェルさんを抱えて温泉から出ていた。良かった……。


「ほらね、言った通りじゃない」

「何が言った通りなんだ」


「この子は知られたがっていた。貴方の周りには危険が多すぎるのよ」

「……またお前が企んだんじゃないだろうな」


「うーん、簡単に言えば私もその危険の一部だっていうのは認めるけれど、だからこそ現れたと言っても過言じゃないわ。だって今回の事は私の所為じゃないし、それほど危機という危機ではないもの」


「じゃあなんだっていうんだ」

「だから言ってるじゃない。知られたがってたから自己紹介したくなったのよ」


 シルフの言っている事はさっぱり分からない。だけどこの手の間隔は見た目の機械機械した

感じよりも暖かさを感じる。何故なんだろうか。


「さぁ地面にご主人様を下ろして自己紹介しなさい」

「偉そうに」


「偉そうにじゃなくて偉いのよそれなりに」

「そうなの!?」


 シルフはにやりと笑うと地面に向かって飛んで行った。

僕を抱える手も地面に向かってゆっくりと降りて、僕を放した。


「これは……」

「さぁ自己紹介を」


 僕は降りた後直ぐに振り返ると、そこには上半身のみで人型の機械がいた。

骨格が鉄で出来ていて、顔の部分はピエロの仮面の半分を付けている。


何かのコードのようなものが沢山あってそれが髪の毛の様になっていた。

胸の部分肩の部分は盾のような形をしたものが付いている。


―初めまして康紀。私はコードネーム”D.E.M”―


「でぃーいーえむ?」

「言いにくいわね。デムで良いんじゃない?」


 僕は暫く考え、シルフの言葉に頷く。捻り過ぎてこんがらがると解けなくなりそうだし。


「改めて宜しくデム。これからも頼りにしているよ」

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