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湯煙騒動

日が暮れるまで畑を耕し、その後鍛錬を終えてお風呂へ。


「どうも~お邪魔します~」


 慣れない事をした所為か筋肉痛に襲われたので、湯船の中で力を抜いて

浮いていると入り口の方から声がした。何かの聞き間違いだろうと思って

そのままにしていると、ぴたぴたと人が歩く音がした気がする。


寝ぼけてるか幻聴かと思って放置していると、やがてバシャバシャシャカシャカ

音が続いてきた。僕は段々目が覚めて来て慌てて後ろを振り返る。


「わぁ!?」


 湯煙ではっきりとは見えないけど、明らかに人が居るし体つきからして男ではない。

これは大変な事になったと思って急いで湯船から出ようとしたけど、なんでか湯船から

立ちあがかれない……。


「もう少し待っててね~体と頭が洗い終わるから。しっかし良いわよねぇ温泉があるって。私たちの里だとほぼ湖の水で水浴びしか出来ないから生き返るわぁ」

「す、すすすすすみません僕今すぐ出ますんで!」


「まぁまぁそんなに慌てて出ようとすることないじゃない。裸の付き合いっていうのも必要な事よ……でゅふふ」

「な、なんか気味の悪い笑い声が」


 僕の頭に何かが飛んできて直撃し明後日の方向へ飛んで行った。

こ、この声はヴェルさんか!?


「あ、いけない石鹸投げちゃった。取りにいかないと~」


 影は立ち上がり、こちらに向かってくる。これは危険が危ない!


「ちょまって!」

「ふふふふふぅ~」


 楽しそうにくねくねしながら近付いてくる! 僕は動こうとしたが淵の岩に

しがみついたまま動けなくなっていた。これは大変だと思いつつ、

こんな方法で身動き取れなくなる事があるのかと感心してしまった。


僕はいけないと頭を振りつつ何とか体を動かそうとするも動かない。


「さぁこちらを向きなさい」


 その言葉に視線は声の主の方へと向いてしまう。こういう場合はどうすれば良いのか。

お経を唱えたら体が動くようになるかな!


「ほんだーらったーへんだーらったー」

「何かの呪文かしら……怖いわね」


 周りを警戒している! 今のうちに誰かが来てくれることを祈るしかない!

いきなり女性と混浴なんて心の準備的なものが出来てないし、色々困る!


何が色々困るのかって言うと……現時点でもその、なんだ……兎に角困るものは困る!

何とか体の自由を取り戻さないと……! 動いてくれ僕の体!



―緊急事態確認。守護者の倫理観に重大な強制干渉を確認。防衛機能発動―



 ……? 聞いた事の無いアナウンスが流れてきた。ヴェルさんらしき影は立ち止まったままだ。

聞こえていないのかな。僕は気になって辺りを見回そうとしたが、何故か後ろだけ振り返れない。


「な、なんで……」

「あ、見つけた! 性悪ダークエルフよ!」

「何っ!?」


 僕が違う事で四苦八苦していると、入り口の方から新しい声が飛び込んできた。

シルフの声に違いない……と言う事は。


「性悪メイドまで連れて来たのね!」

「知らないわよそんなの! それより換気換気!」

「シルフ、一番奥から風で吹き飛ばしなさい。その間に私はコイツを」

「コイツとは失礼なんじゃないのかしら? お客様に向かっ……て!」


 何やらビシバシやり始めた。何とか助かったみたいだ……ラッキー。


「やっほ! 元気?」


 シルフが近所の良く行く店のおばちゃんのような挨拶をしてきた。


「元気な訳ないだろ? さっさとこれどうにかしてくれないかな」

「何とかしても良いけど……」


「けど?」

「丸見えになるけどいいのかなぁ」


 右人差し指を下唇の少し下に上げ、心底困ったような顔をしつつ体を左右に揺らしながら

言うシルフ。……めちゃくちゃイラッとした。びっくりするほどイライラする。


「目を閉じてるからさっさとやってくれ」

「しょうがないなぁ……。でもあんまり意味ないと思うよ?」


「どういう事だ?」

「知られたがっているものその子」


 気になる言葉を残してシルフは俺の後ろへと飛んでいく。

知られたがってる……? 誰が?

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