食糧問題を尋ねて②
「まぁ姉やが怒らないうちに帰るが良い」
「おほんえへん!」
「……過保護が過ぎれば仇となろう。適度な保護が一番安全だぞ?」
「おほっ……げほっげほっ」
咽かえったアステスさんの背中を撫でたんだけど、
余計酷くなり逃げるように距離を取られてしまった。
「い、一体に何が……僕には人の病状を悪化させる能力がっ……」
「それはそれであったら恐ろしい能力ではあるがないだろうな」
「な、何故そんな事を言い切れるんですかっ。僕はその力で身内をっ」
「……悪化したのは能力の原因ではない。康紀は賢そうに見えて馬鹿だな」
「馬鹿は馬鹿だと思いますがそんな能力が……」
「……段々めんどくさくなってきたなお前たち。面倒だからさっさと帰りたまえよ」
「……はい、失礼しました」
僕とアステスさんは肩を落として屋敷まで帰る。
僕たちを見かけて心配したジャンさんに事の顛末を伝えた。
何故だかジャンさんには地面を転がられまくった。これが抱腹絶倒というのか。
結局気が済むまでジャンさんは転がりまくり、その間にアステスさんはどこかへ
行ってしまった。
「まぁあれよあれ。慣れよ。どんどん触って行けばいいんだよ」
「……セクハラしろって事です?」
「違うスキンシップだよ。日本人は男女ともに変なんだよな捉え方がさ。不必要に触るんじゃなくて、エスコートする時とかべたべた触るんじゃなく、相手を思いやってスッと差し出す感じでやればいいんだ。ごちゃごちゃ考えすぎ。やり慣れてない者とされ慣れてない者との摩擦とでも言おうか」
「僕は別にそういう感じでやったわけじゃ」
「だからお前は関係ないんだよ今回は。気に病んだのがダメだ。自然と相手を労わって今後もそれを忘れずにしていけば良い。それだけの事なんだよ。考えすぎで減点だ」
ジャンさんの言葉に頷き、一旦忘れる事にした。
考えるのは大事だけど考えすぎてド壺に嵌ってはいけない。
やるだけの事、考えるだけの事をしたら後は切り替えて
前向きにやっていく。それしかない。全ての真実を知れることは無いのだから。
「今日も賑やかね」
一息吐いてからまた食糧問題の事を尋ねて行こうかと思ったところに、
ヴェルさんが突然訪ねて来てくれた。
「ヴェルさん!」
「どうやら私の事を歓迎してくれるようね」
「勿論ですよ! どうしたんですか今日は」
「どうしたも何もないわよ。同じ森に居るんだから何かあれば全部筒抜けよ」
僕は頷く。取り敢えず門の前の庭園のテーブルに案内し、
お茶を振る舞う。
「ふにゃぉおわああ」
と言いながらシルフが現れテーブルにダイブしてきた。
「本当にシルフも居るのね」
「はい。契約してしまったみたいで」
「私たち的には全く問題無いわ。連中と違って私たちは拘りはあるけど懐は広いつもりよ」
「エルフさん達は大分強い拘りがあるみたいですね」
「まぁね。悪く言えば星とユグドラシルに閉じ込められていたに等しい一族だからね。私たちはそんな一族に嫌気がさして、知識や文化を持ち出さない事を条件にあの里を離れる事にしたの」
ヴェルさんは何処か寂しそうな顔をしてそう話してくれた。
「ふにゅ……でも良いんじゃない。貴女達はその御陰で新しい道を切り開く事が出来ているんですもの……大きなところではダークエルフの士官も居るわ。認識的にはエルフの方が皆馴染みが無いくらいにね」
シルフは這いずりながら僕の近くまで来て、手首を枕にして仰向けになって言った。
「ホントアンタたちって良く分からない一族ね。風の妖精って」
「分からない位自然と傍に居るのよ。だからこそ軽んじたら痛い目に遭う」
「それが今から起こるって事かしら」
「さぁ? でもね、少なくともシルフィード様は望んでいない。それしか今は確かな事は無いのよね」




