食糧問題を尋ねて
「まぁ今は考えても仕方のない事だしねぇ。ご飯食べて一日を始めようじゃないか」
「はい」
そうして食事を済ませ、一日がスタートする。先ずボブゴブリンの野営地に
ジャンさんと向かって野営地での生産や建築状況、鍛錬の状況や畑の状況を見る。
釜戸が足りない事や、火力の調整の問題があり完全ではないものの
工芸が出来てボブゴブリンたちは生き生きしていた。
親分と他の族長二人も交えて視察しながら話をしていて、どうやら他の
ボブゴブリンたちもこちらに合流するかもしれないと言う。
「そりゃ困ったなぁ……。食料の問題があるよな」
「そうですね。でも出来れば受け入れるだけ受け入れたいですね。ゴブリン化するのも避けたいし何よりボブゴブリンは僕らに一番初めに力を貸してくれた種族ですから、増えると心強いです」
「食料の問題、オレたちも頑張る。迷惑掛けないよう工夫する」
「そんな事は心配しちゃいないさ。寧ろその元手の工芸がしっかりしないと不味いって話なんだよ。そいつらは工芸に関して何かできそうか?」
ジャンさんの問いに詰まる親分たち。
「僕が侯爵に掛け合ってみましょう」
「そりゃ良いけど。侯爵も言ってたように無限に沸いてくるわけじゃ無いんだぜ?」
確かに侯爵に頼り過ぎるのも良くないなぁ……。侯爵は僕の頼みを聞いてくれそうだけど。
「他に考えてみます。無ければ、と言う事で」
「それが良い。何でもかんでも侯爵にお願いしてたら、お願いされる方も困るしな」
ジャンさんの正確な指摘に気を引き締めて頷く。
僕は早速シェンリュさん達の鉱山へと足を向ける。
「あのーアステスさん」
「はいなんでしょう」
「着いてこなくても……」
僕は無言でついてくるアステスさんに声を掛けたが、返事はない。
エルフの一件でこれはもうあかんわと思われたようでべったり横に張り付いている。
「おぉ康紀と姉やではないか。良く来た」
腕を組みながら蜥蜴兵士たちの編隊練習を高台から指示していた
シェンリュさんに声を掛けると、気さくな笑顔で答えてくれる。
「シェンリュ様おはようございます」
「うんうん。何やら騒がせているようだが元気で何より」
「あれ、何か知ってるんですか?」
「知ってるとも。我らは同盟を組んだのだ。それも康紀が軸となってな。何かあれば知らせるよう使いを張り付けている」
僕はアステスさんを見るけど、アステスさんは無表情。知っているような感じだ。
「姉やが何もしないと言う事はそういう事だ。隠す事も無かろうしなお互いに。なんだったら康紀の小屋もここに建てて」
「結構です」
「相変わらず姉やは手厳しい。だが康紀と私は星で言えば同郷も同じ。仲良くするのも当然と言うもの。是非今後は語らう機会を増やしてほしいものだ」
「それは是非」
「康紀も同じ気持ちで居てくれるなら私も嬉しいし、そうしていく。で、今日は何の用かな」
僕はボブゴブリンの食糧問題について話しをした。エルフの騒動も知っているようなので
隠す事も無いと思い正直に包み隠さず話す。
「なるほどな。確かにそれは問題であろう。が、あまり力になれそうもない」
「リザード族は肉食だからですか?」
「そうさなぁ……動物の肉は勿論魚も食べるし木の実も食べる。食べないのは野菜位のものだ」
「この森で間に合ってるっていう事ですね」
「そうでもない。取り過ぎないよう注意をし、最近は畜産も始めた所だ。うちもそう余裕がある訳ではないから多少融通は出来るが……」
「いえ先ずはこちらで出来る事をして見ます」
「うむ。だが森は皆の物だ。そういう意味では取り過ぎたりしない限りお互い確認しながら取って行けば問題無いだろう。正直なところ栽培出来るのであれば、我々の物と物々交換したりしても良い」
僕はその言葉にハッとなり頷く。少し辛いかもしれないけど耐えて先ずは基盤を。
物々交換できる土台をしっかり作らないといけないと気付かされた。
「どうやら私はお役にたてたようだな」
「はい! シェンリュさんありがとうございます!」
「良い。我らは同盟関係であり、同郷の者だ。今後も支え合っていこう。そして私も助けてくれ」
ホントシェンリュさんは男前すぎる。
「おほん」
「……なんだ姉や、風邪か?」
「いいえ」




