荒野に家を建てたった
「家が解らないかぁ。なら実際作ってみようか」
僕がそう言うと、ゴブリンたちは頷く。
「なら丸太を用意するか?」
「ああでもその前に僕の居た土地に行きましょう。近くに森もあったし。ゴブリン親分たちも大丈夫?」
「俺たちついていくだけ」
頼もしいやらなにやらである。
「隊長これ」
ゴブリンの一人が魔法少女を指差す。
「ああ忘れてた。役に立つことあるかもだから持って行こう」
「俺が持つ」
「いいよいいよ。暴れて何かあったら面倒だし、親分たち危ないから」
僕が担いで歩き出すと、後ろから皆ついて来てくれた。
ジャンさんと僕は体力がここに来て上がってるから当たり前に感じるけど、
ゴブリンたちも息を切らさず草木を掻き分けついてくる。
坂道を上がりそして下り、泉の脇を通って暫く進むと、見渡す限りの荒野が広がっている。
「よーしじゃあ丸太を取ってきましょう。ゴブリンたちも手伝って? 実際に家を建ててみよう」
ゴブリンたちもジャンさんも頷く。どうやら興味があるようだ。僕たちは元来た道を戻り、
森から樹を頂く。ゴブリンやジャンさんは手馴れていて、ドンドン伐採していく。
僕が不慣れでやっていると、ゴブリン親分から必要な分だけ言ってくれと
事実上解雇される。悲しみうみうし。
「じゃあ先ずは四本地面に立てに打ち付けて。そうそう。その間に丸太を立てて。四本分は開けておいて。丸太の頭に寝かせた丸太を置いていって。……よし中に入ろう!」
簡易的ではあるが、夜露を凌げる場所完成。全員で中に入ると、少しジメッとしていて
風も少し入るけど家の完成である。
「どう? ゴブリンの皆」
「凄い。洞窟でもないのに風あまりない。砂も来ない」
「良いでしょ。もう少し時間をかけると、人間たちが住んでいる家になる。ホント短時間で簡易的というか乱暴な建て方だけど、こんな感じ」
「へぇ……お前さんやるじゃないか。何もないしかも短時間で家ってのを解らせるならこれほど手っ取り早いものはないな」
黙っていたジャンさんにそう褒められた。実にくすぐったい。あまり褒められるのに
慣れてないから。これも何もないところから家を作るゲームを一心不乱にやったお陰である。
岩や砂だけでもやろうとしたけど、樹があって人が居るならこの方が良い。
「で、こんな感じでいっぱい家を作って、色んな種族を集めて家畜を増やして、物と物を交換してってかんじで皆が一緒に生活して護りあう、そういう国っていうのを作りたいんだ」
改めてゴブリンたちに、僕が思う簡単な国というのを言ってみた。
勿論実際はもっと色々あるんだけど、取りあえず今は思い描いてもらいやすい言葉を並べてみた。
「隊長が言うのをやる。俺たち隊長に従う。それに興味ある」
「物作りってゴブリンでもするの?」
「する。奪うだけで足りない。それに俺たちゴブリンじゃない。ボブゴブリン。元々作るの好き。お手伝い好き。でも人は俺たち嫌った。だから生きるため殺す。でも隊長が俺たちを嫌って殺さないなら、お手伝いする」
ゴブリン親分の言葉に皆頷いた。ゴブリンはゴブリンでも色々居るんだな。
まぁ僕たち人間も色々居るしね。
「ありがとう。取りあえず家を建てていこう。君たちも家族居るでしょ?」
「いる」
「ならここに何れは呼んで、実際に皆で生活していこう」
「解った」
「そうだな。先ずは家もそうだけど、食べ物も何とかしないと……」
「オーライ!なら俺が狩りをしてきてやるよ!」
「じゃあジャンさんお願いします。ゴブリンたちは家族のところに帰って良いよ。心配するだろうし。また朝になったらここに来て」
僕がそう言うと、ゴブリンたちは驚きの声をあげた。
「良いのか?」
「勿論」
「こないかもしれない」
「来るでしょ」
「何故?」
「興味あるんでしょ?」
唖然として暫くすると、頷いて去って行った。
「良いのかあれで」
「良いんですよ。きっと来るでしょ。来なくても僕はここで家を建てます。後はギルドで仕事を貰って稼いで通貨を手に入れないと」
「……俺も協力するよ。やってやろうぜ国!」
「ありがとうございます!」