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休日と出会いと

「君は鍛錬に気がいってしまっているようだが、鉱石をある程度確保できるならそれを元手に工具や耕具の製作に取り掛かり、食料の確保。それから余剰で工芸品の作成に取り掛からなくてはならない。農作物は直ぐに取れるものでは無い。備蓄はあるがそれを全て吐き出しては勝てない」

「そ、そうでした」

「明日にでも早速鉱石を分けてもらいに行きたまえ。ボブゴブリンたちに加工を依頼して先ずはクワを。そこから農地を開拓しつつ出た木や石を使いつつ色々試行錯誤していくんだ」

「はい!」

「では今日は筋肉の休養も兼ねて休みとする。何をしても自由だが、休む時は休む事も仕事だ。それを忘れないように」


 こうしていきなり休みを告げられて休みとなった。

とはいえやる事も無いので、図書室にでも籠ろうかと思ったけど


「ダメです」


 との事。そのまま外に出てボブゴブリンたちの

野営地に行ったけど


「悪いな、訓練のついでに農地開拓もしちまっててちょっと手が離せないんだ」


 ジャンさんの指揮の元、ボブゴブリンたち総動員で野営地南を開拓しつつ、

出た木の株や石などを分けて弾いていたので邪魔にならないよう見ていた。

暫くしてから僕はその場を離れ、ダークエルフの里の近くまで来た。


「悪いが今日は週末祭の準備で忙しくてな。持て成したいのは山々だが」


 ノルンさんとヴェルさんは忙しそうに荷物の移動を指示していた。

週末祭の事が分からない僕に手伝える事があるとは思えないので、

また来る旨を伝えてその場を後にした。

皆が忙しい中で一人休日を与えられても中々持て余す。

アステスさんも僕にばかりついていられないようで、屋敷に残った。

さてどうしようか……。森をふらふらと印を付けつつ歩いていると、

途中で立ちくらみに襲われた。周りを見渡すと、

一本の木に違和感を覚える。そこまでやっと歩きつき、

一回りしてみると


「なんだこれ」


 気に何か紋様の様なものが掘られていた。

僕はおもむろにそれを拳で叩いてみる。

暫くそこを叩き続け、紋様が変わると

キーンと音が森を走る。僕は耳が痛くて

すぐ塞いでしゃがみこむ。

それは暫く続いたがやがて止んだ。


「……貴方何をしているの?」


 その言葉より早く細い針のような切っ先が

僕の右目に飛び込んできた。不格好でもいいから

距離を取るために転がるように逃げる。


「あら早いのね」


 そう言いながら先回りして追撃を繰り出してくる。

旨い具合に木が傍にあるところまで転がってこれたので、

それを盾にしてすぐ立ち上がる。


「非力だけれど器用なのよ? 私たち」


 その細い切っ先は木を貫通して来た。

冗談だと思うレベルだ。木の繊維の間を縫って

貫通しているんだろう。このままだとハチの巣にされる。


「やるじゃない。もっと遅いと思ったのに」


 そのおかげで致命傷を避けられているって感じだ。

あちこちに小さな切り傷が出来ている。

何とか話でもして間を作りたいけど、

そんな事は許さないって感じだ。

予想外に僕が避けられているんだな。

だけど油断すれば御終いだ。


「風よ!」


 僕の前から強烈な風が吹いてきた。

だが構わず逃げる。


「何ですって!?」


 その声に反応し腰に差していた

ショートソードを引き抜き振り向く。


「こんにちは人間」


 目の前に居るのは金髪のストレートヘアで

ポニーテール、切れ長の目と高い鼻。

ワンピースの上から肩と胸、腰と膝にだけ

鎧を着た耳の尖った女性が居る。


「ど、どうも」

「警告に従わないどころか結界を壊したわね」

「す、すいません気分が悪くて」

「気分が悪くて建造物破壊しないで? あれは私たちの結界の入り口。あれを直すのには凄く時間が掛かるのよ?」

「も、申し訳ありません」

「申し訳ありませんでは済まないわ」

「じゃあどうするんです?」

「死をもって償ってもらいましょうか」


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