火山とリザード族
「では早速始めよう。どうしたい?」
「火口まで案内して欲しいです」
「心得た」
シェンリュさんとコマイニさんを先頭に、
僕たちは鉱山の中へと入っていく。
外も暖かいけど、中も変わらない位の
暖かさのままだ。リザード族の洞窟内の
住居部分から更に奥へ進み下って行く。
下に行くに従がって湿度の高い状態から、
強い熱を帯びた空気に変わる。
僕は渋々屋敷にあったリュックに
突っ込んだレインコートを取出し着た。
女性陣がヒソヒソしていたが気にしない。
というか逆の立場なら一言言いたい気持ちは分かる。
「うわぁ……」
マグマが見れる場所まで案内してくれて、
間近で初めてマグマを見る。圧倒されてしまった。
が、直ぐに意識を戻し、ジッとそれを見る。
唸りをあげてはいるものの、流れは穏やかなもので
緊急性は無さそうに見える。
「フッ……どうだ? クッ……マグマの様子は……」
そうだね可笑しいね僕の恰好がさ。
「今の所問題なさそうだね。ただ噴火の可能性はもっと下まで行ってみないと分からない。マントルと地震がキーワードになる。避難訓練をして迅速に外へ出て火山から離れる事だ」
このマグマの動きが活発になれば、
マントルから上がってきて噴火の準備が
整いつつあると言う事だとグルヴェイグさんに教わった。
「それならリザード族は慣れているよ。湿地帯が多いが、鉱山地帯に住むこともあったようで、口伝で避難訓練はするようにと言われているらしい」
……先祖噴火経験してるのかもね。
流石に避難経路までは見せてもらえなかったが、
その代り取れる鉱石などを教えてもらった。
金銀銅鉄などなど。兎に角色々なものが掘れ、
それで生計を今は経てているとの事。
「凄いなぁ立派に経済活動してるね」
「馬鹿にするなこれでもそこは弁えている。我々も目的をもって貯蓄をしている」
「それは良い事だ」
「何か聞きたいか?」
「うーん必要最低限使ったら後は土地の買い付けかな」
僕たちは暫くマグマを観察した後、
元来た道を戻る。僕の答えに何も言わず先頭二人は
黙々と戻る。どうやら当たりらしい。リザード族が
主要な部族として上がらなかったのも、
根無し草な移動が原因なのかもしれない。
この大陸は日本と同じように四季がある。
恐らく一定以下になると眠くなるんじゃないかと思っている。
だからこその移動なのではと思った。
「フン。可笑しな物を着てたくせに」
僕の考えはある程度当たってたようだ。
してやったりだ。
「取り敢えず今日の所はこれで。また何かあれば教えてほしい。出来る限り協力はさせてもらうつもりだから」
「まぁ待て。そう急いで帰る必要も無かろう」
「鍛錬があるし」
「ここでも出来る」
「授業が……」
「私がしてやろう」
この地域にどれくらいから居たかは分からないけど、
僕より先輩なのは間違いない。そして別ルートで
近所まで来たとなれば、別の何かが見えてくるかもしれない。
「なら教えてもらおうかな」
「よし決まりだ!」
シェンリュさんは少し微笑みながらそういうと、
蜥蜴兵士たちにあれやこれやと指示をし始めた。




