ダークエルフの村を見学
更に考えるなら僕たちがあまり強く見えない方が良い。
相手に欲を出させる。物には限りがある。
「……ヴェル、彼に村を案内してやってくれ」
「お父様」
「早合点するな。我々も彼を知る必要があるし、彼も我々を知る必要があると言う事だ」
「あ、ありがとうございます」
こうして僕はダークエルフの里を見て回る事になった。
木々の合間に家を建てつつも、中には木を取り込んで
大きな建物を建てたりしている。自然と一体になっているような
感じの建築に僕はとても興味を持った。
ノルンさんの計らいで、丁度家を建てている
現場に立ち会う事が出来た。丸太を大地に間隔をあけて打ち立て、
その間に丸太を通す。彼らは非力なのでどうやって穴を開けているのか
と思ったら、魔術を使って穴を開けていた。
僕にはとても真似出来ないとても頑丈な組み方をしている。
ただやはりこれを何度もやるには魔力も足りず、
週に一度、出来るところまでやるようだ。
なので家自体は多くなく、大家族状態で別の世帯が
同居しているとの事。個人的にこの面は僕たちが交渉出来るんじゃ
無いかと思っている。建築に対する思想というか、
自然第一であり切り開くことはあまりしたくないのは理解した。
それを生かす建築を見せれば……。
「何か思いついたのか」
「いえ、僕たちがノルンさん達と取引できるかもしれないヒントが見えまして」
「ほう……」
「もう少し家が欲しいですよね? 居住環境が良く無いように見えます」
「そうだな」
「改善する方法があるかもしれません。森を切り開かず」
「荒野で立てていた物とは違う物か?」
「全く違う物です」
ノルンさんは興味深そうに僕を見て頷いた。
「許可が頂ければ何れ立ててみたく思います。ヴェルさんと初めて会った場所に丁度粘土質の土を補完する小屋を建てたかったし」
「楽しみにしておこう」
その次に案内されたのが工房だった。
小屋の中の奥に、石で囲まれた部屋があり
その中には溶岩のような溜まりがある。
その近くでダークエルフが真っ赤な物体を
叩いて伸ばしている。
「これは……レイピア?」
「そうだ。ただのレイピアではない。この後魔術を込めて打ち込み仕上げる。我らはエルフよりも力がある方だ。なので刃幅を少し広くし重量も増している」
「これで矢じりも?」
「そうだ」
奥の方に小さな矢じりが沢山収められた箱が
積まれているのが見えた。ノルンさん達も準備を進めては居たんだ。
綺麗な細工も施されており、アクセサリー類はやっていないのかと
訊ねると、今は騒がしいからしていないとの事。
エルフとは違う、ダークエルフの作品と言うのも見てみたい気がする。
その後村の奥にある放牧地を見せてもらった。
羊と鹿と馬を飼っており、馬は騎乗用として他は食用とその他に
使用する目的で飼育しているようだ。
但し無暗に数は増やさず必要最低限に留めているとの事。
更に畑には多くの野菜が栽培されていた。
ダークエルフは彩に拘るとノルンさんは言っていた。
確かにノルンさんやヴェルさん、村の人たちも
色合い鮮やかな服を着ている。とても見ていて楽しい。
羊の毛から糸を作り、そこから服を作っていく。
染料は森から頂くようだ。幾つかの桶には昔から溜めている染料があった。
ダークエルフの村独特の色と言うのもあるのかもしれない。
前の世界はうるさいほど色があちこちに溢れていた。
今は少し落ち着く気すらしている。
「取り敢えずこんなところだ」
一通り見て回り元の場所へと戻ってきた。
村の人には奇異の視線を向けられた。
まぁ当然だろう。捕虜みたいな状態で
連れまわされてるんだからそりゃ可笑しいよねうん。
少なからず抵抗は試みたけど、あまり動くとその……腕が危険。
「……取り敢えず我々の見せられる部分は見せた。互いに交流をしていく点で私は問題はない。もっとも時間もあまりないだろうが」




