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種族違い

僕はそのまま席に座るよう促され、

ジャンさんが帰ってくるまで侯爵たちと

お茶をしながら今回の件について話していた。

グルヴェイグさんも正直に、

僕と初めて会った時の事を話してくれた。


”世間知らずの子供”


 とても耳の痛い話だ。

きっとジャンさんも色々経験していけば

変わるだろうと思ってくれていたんだろうなぁ。


「兎に角経験が足りないなら積むしかない。今後そうのんびりもしていられないから、私の交渉にも同行してもらおう」

「確かにそれが良いかもしれないねぇ。ただ考える為に情報を蓄える勉強もしないと」

「多角的に見る事が重要ですね」


 この世界で目標を達成する。

それがゴールだとあの泉の女神は言った。

先ずはそこに辿り着かないと。

国を作る過程で色々な種族が加わるだろうし、

全ては無理でも知れる限り知りたい。

言葉を交わさなくちゃ……。

あんまりうまくないけど。

 そう考えると屋敷で寝ているだけじゃ

ダメじゃないか。


「侯爵、お願いがあるんですが」

「なんだい?」

「僕は彼らと寝食を共にしようかと」

「ダメです」


 横で立って控えているアステスさんから

ダメだと言われてしまった。


「……まぁアステスくんの言う通りだ。これは気持ちとか知識の問題じゃなく耐性の問題だ。彼らと君では食べるものが違う。生物として彼らは過酷な環境を生きてきた遺伝子を持っている。彼らが消化できるものを君の胃は消化できない。そして衛生面でも同じだ。彼らの肌は強い。毛は頭部周りのみでモスキートに刺されることもない。君は餌食だ」


 それは確かに大きな問題だ。

僕は胃が強い方じゃない。

ここの料理も一生懸命噛んで食べないと、

翌日には胃が痛くなるレベルだ。


「アステスはそれを理解しているからこそ、康紀にダメだと言っているんだよ?」

「はい……」

「まぁ康紀は自分の事も他人の事も知ろうとする気持ちが必要不可欠。そういう意味では良い事だ」

「侯爵やグルヴェイグさん、アステスさんが言うような事を気を付ければ大丈夫ですか?」

「ああ問題ない。積極的に交流し学びたまえ。君の言う名産品でも戦いを仕掛ける、という点は私はとても楽しみにしている」

「頑張ります」

「生産物っていうならやっぱりエルフたちが仲間に居ると良いかもね」

「気難しいが手先が器用。あれの作ったレースなどは今でも高級品だからねぇ」

「そんなに良い物なんですか?」

「このテーブルのクロスもエルフの作品だ」


 僕たちの座るテーブルのクロスはパッと見真っ白だが、

良く見ると真ん中に大きな木、そし周りにエルフや犬が

描くように縫われていた。


「正直人間には無理だろう。作図を完成する事は出来ても、これを縫う手段が無い」

「制作にも時間が掛かるでしょうね……」

「それが一月くらいでやってしまうんだからエルフの器用さには舌を巻いてしまうわ」

「力はかなり弱いが、知恵と器用さに置いてはエルフはこの星の生物でもトップクラスだ」

「とするとボブゴブリンは焼き物とかですか?」


 僕はボブゴブリンと対極に居ると聞いている

エルフがそうなら、じっくり時間と手間暇掛けて

作るものが得意なのかと思った。


「そうだ。今は割と少ないけど、昔は彼らの専売特許だった」

「……ゴブリンが関係してるんですか?」

「……勘が鋭いねぇその通りだ。昔はボブゴブリンと人間は近い存在だった。だが人が森を開拓し文明レベルが上がる事でボブゴブリンは人間と距離を置き始めた」

「ボブゴブリンは焼き物を取引できなくなって盗賊紛いの行動で食べるしかなくなり、ゴブリンとボブゴブリンの区別が人間は付き辛くなってきた、という事だねぇ」

「そうですか……。森を荒らさない、という点で言えばエルフとボブゴブリンは共通する……僕がその点を護れば」

「そうだ、公約に掲げるなりすればそれはある程度有効になる」

「勿論実行してるところを見せないとね」


 ただ森の中で人が暮らす、という以外に

何か工夫が必要っていう事か……。

森を切り開くのは危険が無いように

安全確保の目的があると思う。

木の陰に隠れたり雑草の中に潜んだり

されると分かり辛いのは確かだ。

そういう点もエルフの里ではどうしているのか

見てみたい。

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