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星の護り

――この星が危機に瀕した時、この星が一人の者によって蹂躙された時、

それは力となって人に宿りて現れる、願い祈り叶え賜う星の剣、星の槍、星の護り――


「僕の力は凄いんですね……」

「言い伝えは、ね」


「見たこと無いって事ですか?」

「そういう事だ。ただアタシたちがアンタを呼んだかもしれない」


「……マジですか。僕は事故で呼ばれたんじゃ」

「事故じゃないね。アタシは自信がある。きっとアタシの願いを叶えてくれる」


「そんなたいそうなもんじゃ……。というか願いって一体……」

「先ずはあの泉のが言ってただろう?国を作ることを念頭に置いてくれれば良い。アタシが見た所、大きな星はもう動き始めた。ただ一撃あれば良い。そうなるには国が要る」


「全然解らないです」

「覚えておいてくれれば良い。ジャンにも伝えるから。国を作るには骨が折れる。君らしく頑張って欲しい」


「まだ小屋しかありませんが」

「それも徐々に。アタシは勿論君に助言を送ったりはするから、いつでも聞いて」


「ありがとうございます」

「アタシとしては知り合いになれただけで、今回の目的は果たせた。何より泉のよりアタシの方が好印象間違いない!」


 好印象かどうかは別にして、この世界のベテランと知り合えたことは、

僕たちにとっては大きな意味がある。それにふんわりしているとは言え、

僕の力についても知ることが出来た。魔法でも魔術でもなく能力らしい。


「あれ、そういえばジャンさんは知ってるんですか?」

「ジャンは曲者だからねぇ。アタシが安全だと思って君を送り込んだんだろう。それにアタシに対しても、君が安全だと知らせるために、ね」


「ジャンさん凄いなぁ」

「元兵隊だからね。ふざけているように見えてあれはやり手だ。味方であることは幸運だと思うよ」


「レイアさんをジャンさんは知らないんですか?」

「知らないだろうね。丁度いつも出かけていて会ったことが無い」


 妙な事もあるもんだ……。


「じゃあそろそろお暇します。ジャンさんが探しに来るとあれなんで」

「そうかい?じゃあ今日はこの辺で。荒野開拓頑張って。また何かあったら気軽に来るといい。アタシもこの娘をもう少し教育しておくからさ」


 僕はグルヴェイグさんとレイアに見送られて小屋を出る。

そして途中でジャンさんと合流した。


「おう。どうだった?」

「何か疲れました色々」


「悪い悪い。どうも女性に声を掛けるのと違って、先生ぽいことはなれなくてな。特に小難しい話は得意じゃない。なんで直接顔を合わせるほうがお互い良いかと思って黙ってたんだ」

「ジャンさんも人が悪い」


「まぁ貸しにしといてくれよ。その内利子つけて返すからさ」

「仕方ないですね、そういう事にしときましょう。で、ゴブリンたちはどうです?」

「まぁ見てくれよ」


 荒野に着くと、家の前には柵が出来ていた。しかもその中に狼ぽいのがいる。


「おぉー!これは凄い」

「だろ?俺の生まれたテキサスは牧場が多くてな。こういう柵なら簡単に出来る。ついでにゴブリンたちにも教えながらやってたんだ」


 ゴブリンたちは細かいところに蔓を撒きつけて、頑強にしている。

二匹の狼ぽいのはただ静かに俺の方を見ていた。


「あの二匹ずっとあんな感じなんだよ。お前が出て行った後身動きせず、ただじっと見ていたんだ。お前の歩いて行った方向を」


 何だろう何か感じていたんだろうか。


「で、どうする?」

「どうするとは?」


「名前だよ名前」

「名前かぁ……。灰色に足近くのところが白い狼ぽいのは、フェン。白に足の近くのところが灰色の狼ぽいのはヴィトってのはどうでしょうか」


「中々だな。特に由来無し?」

「無しです。何となくですが。それに彼らはなんか懐くって言うのとは違う気がして」


「……そうだな。プライドが高そうなしっかりした顔立ちしてるよな」


 僕たちが彼らの顔を見ると、二匹は同時に咆哮した。

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