星の力を与えられしもの
「ささどうぞどうぞ大したもんじゃないけど」
暫くするとお婆さんは湯気の立つティーカップと木の器に何か入れて持ってきた。
ピンクさんは慌ててそれを手伝おうとしたが、良いから、という一言で
またしょんぼりピンクさんに戻る。
「頂きます……」
丁度喉が渇いていたので、ティーカップを持ち匂いを嗅ぐと、
ハーブの匂いがする。一口口に含んで味わうと、スーッとした味が
口の中で広がって清涼感のある喉越しに癒された。
今度は二口と思ったけど、丁度良い温度になっていて、飲み干してしまう。
「あらあらちょっとまってね」
お婆さんは自分の分のカップをテーブルに置いて直ぐ奥へ戻る。
そしてポットを持って戻ってきて、俺に注いでくれた。
「ありがとうございます。とても美味しいです」
「それは良かった。この娘と一緒に摘んだものだから、丁度飲み頃だし売ってるものより自身があるよ」
ピンクさんも頷く。
「これも食べてみて。この辺りで取れた木苺を一回ジャムにしてから小さな玉にして、生地の中に入れ込んだから、甘くて美味しいよ?」
「頂きます」
掌より少し小さいくらいの大きさで、茶色い固形物。クッキーと同じだと思うが、
それに所々赤い点がある。これが木苺のジャムの部分かな。
生地の程よいサクサク感とほのかな塩味、木苺のジャムの
部分の甘さと少しある酸っぱさがめっちゃ高そうな高級菓子に感じるほど
美味しかった。
「まぁまぁ小難しく考えないで。美味いもんは美味いだろ?」
「とても美味しいです」
「でしょ!?」
元気ピンクさん登場。僕とお婆さんの視線を集めたのに気付くと
またしゅるしゅる萎んでしょんぼりピンクさん。
それを見てお婆さんと僕は噴出してしまった。
「改めて自己紹介させてもらうよ。私はグルヴェイグ。この森で魔女をやってる者だ。このピンクの髪の娘の祖母にあたる。宜しくね」
「私はレイア。お婆ちゃんの孫」
「僕は康紀です。宜しくお願いします」
ピンクさん改めレイアは、漸く戻ってきたのか背筋を伸ばして座っていた。
「で、君は何処から来たんだ?」
「正直にお話しすると、ここではない世界から着ました」
「そんなに正直に言っても良いのかい?」
「そうですね。言っても信じない人の方が多いでしょうし、言った所であんまり問題なさそうなんで良いかと」
「凄い自信だね」
「自信と言うか……ピンクさんの魔法を見て、そういうのがある世界に住んでたとしたら、僕は自分ならどうかしてるなって思う程度で流すかなと。服装が異常だったりすればあれですけど」
「まぁこの娘の魔術も普通じゃないけどね。確かに私たちにしたらそう驚くものじゃない見た目だけなら。但しあの技を見た後はそうも言えないけど」
「変ですか?やっぱり」
「変て言うか……まぁ君の言う魔法で片付けられるものではない、特殊なものだからね。正直脅威として見られる可能性が高いね」
「確かに。しかしあれは範囲狭いんでどうなんでしょうね」
「維持出来る時間も長くないからかい?」
流石魔女と呼ばれるだけあって、観察眼が凄いなぁ。色々な事象現象を研究し、
人の知恵を超えた物を持っているかのような存在、魔女。しかもこの人の場合
人生経験も豊富だから尚更か。
「お婆さんはこの力が何か知ってるんですか?」
「知ってると言うか、憶測でしかないね。流石に聞く相手もいないけど、古い書物にそんな力について記載してあったのを覚えてる」
「なんていう力なんですか?」
「星の力」
「星の力……」
「そう。例えば魔術ならこの世界の何処にでもあるエーテルを使用し行使するもの。魔法はこの世界に存在しているものを詠唱無しに召還し使用するもの。星の力は星が認めた者のみに与えられた、その人のみの力」




