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原住民との対話

「オークの村に近付くもの、特に国の人間に見えたら仕方ない」

「僕の格好から国の人間だと?」


「そうだ」

「毎回国の人間を捕えていたんですか?」


 僕の問いにまた詰まる。正直ずるいと思うけど情報は幾らあっても良い。彼らはひょっとするとオークではなく町の人間と繋がっているのかもしれない。そうであるなら僕を誰かと間違えたのも納得がいく。特に今現在の町長とか。


「お前はどうする気だ」

「どうするも何も、命を狙われたならそれなりの対処をするまでです。戦になる前に禍根を残さない。皆の未来を預かる身として簡単に死ぬ訳にはいかない」


 その言葉に原住民の皆さんはざわめく。中にはこないだの時居た人もいるだろう。僕の能力を体感していれば今そうなったらどうなるか、分からない筈はない。


「ならば殺しあうより他無い」

「仮にそうだとしてオークと僕たち、そしてダークエルフとエルフに挟まれて勝てそうですか?」


 彼らが来たのは恐らくそれが原因だ。周りが次々とこちらと交渉をして悪くない雰囲気になっているとすれば、近くにいて焦らない筈がない。何より彼らからすれば国は敵である事は間違いと思うけど、僕らはその限りではない。


オークとは交渉が出来て棲み分けは出来ていたものの、戦になりオークが組してこの領土に仮に国が出来たなら原住民としての彼らは進退を考えざるを得ない。服従するか死か。


遅れてきて現状維持の領土は望めない。逆らえば死しかない。彼らは今の立場に追いやられた時にそれを理解しているだろう。彼らは侯爵の力添えで現在の状態を得られたと思う。


そういう意味ではいの一番に協力を申し出た方が印象は良かったはずだ。彼らにも原住民としての思いが色々あるだろうけど、今回のは失態も良い所だ。


「我々は最後の一人まで戦うぞ」

「我々も同じです。国の無謀な戦争には付き合えない。それに抗う為に独立を狙う他無い。後顧の憂いを断つ為に全力で行きます」


 僕の言葉に暫く沈黙が続いた後、族長は更に僕たちの方に歩み出て来た。ボブゴブリンたちと原住民兵たちが一触即発で睨み合いながら包囲網を解かずにこちらに来る。


ある程度のところまで距離が近づくと足を止め、武器を放り投げて地面に胡坐を掻いて座った。


「分かった。罪を認める。その代り俺の首一つで事を収めてほしい」


 その言葉に原住民たちはざわつく。


「それ位の覚悟はあるという事ですね」

「ああ。全て決断が遅れたオレの責任だ。それに対して責任を果たす」


「分かりました。その言葉忘れないでください。御付の人たちは数名族長さんと中まで来て良いですよ」

「おお……」


 族長と原住民たちの表情が明るくなる。


「敵であるより味方であるほうがこちらも助かるのは事実です。遅れた事と僕を襲撃した事、忘れないでください。国であれば許される事は無いですから。先ずは中へどうぞ」


 僕が促すと、族長を取り巻いていた皆は道を開け族長は武器はその場に置いて立ち上がり付いてきた。御付が来ようとしたけど、それを断り一人中へと入ってきた。そのまま食堂まで案内する。


正直味方は多いほど良いし、彼らも自分たちの領土を守る為に奮闘してくれるだろうから、仲間にする事は勿論考えていた。ただ他の人の事もある。襲ってきてはいそうですかでは、そう言った事を他の部族も容易にしてくる事になる。


それだけは避けなければいけない。侯爵の代理として冷静に対応しなくては。


食堂について族長は最初地面に座ろうとしたけど、アステスさんに止められて椅子に座る。ただ綺麗な姿勢で座っており、原住民と言っても単に粗野粗暴では無いようだった。


「何か苦手なものはありますか?」

「いや大丈夫だ。内臓は強い。我らは文明とは離れているからな」


 アステスさんが居れたハーブティーを少しずつ飲み、最後は一気に飲み干して感激していた。お茶はあるようだけど、淹れ方が違うらしい。


「森の薬草や昆虫等の知識が豊富だと思うのですが」

「確かに。医療と言うものは無い。だからオレたちは森の恵みを頂きそれで癒す」


「なるほどそれは心強い」

「そうなのか?」


「はい。族長さんに頼みがあるんですが」

「族長だがオルゴだ。オルゴと呼んでくれ」

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