ドラゴン無双
ヒャハッー!
ゴブリン狩りまくってゴブリン無双だぜ!
そんな事を思ってた時期が私にもありました。
というかそれ以前に、マジでゴブリン先輩すいませんでした!
俺の視線の先には音のしたあたりの木を片手で引き抜いているゴブリンがいる。
多分音を鳴らしたケビンさんを探しているんだろう。
何だよアレ!本当にゴブリンかよ!?
そのゴブリンは片手で木を引き抜きぬいている。
俺が口をパクパクさせているとウルグがポツリと呟く。
「あれが神話級の魔物か…」
神話級のゴブリンってなんだよそれ…
ゴブリンが見えなくなった頃に俺は震えながらウルグに尋ねる。
「なぁ、あの魔物っていったいなんなんだ?」
「1つの大陸につき一体いる神話級の魔物、ゴブリンですよ。自分も初めて見ましたけどまさかあんなに大きいとは…」
他にもあんなのがいるって事か。
異世界、正直舐めてたわ…
それから、またしばらく走っていると、
御者の人が後ろを向く。
「もうそろそろ、森を抜けるぞ!」
御者の人の嬉しそうな声が聞こえる。
よっしゃぁー!
やっと森を抜けられるのか!
これ以上、魔物には出会いたくないからな。
まぁこれを言うとただのフラグにしか聞こえないんだが…
「隊長!森を抜けてすぐの所にドラゴンの群れが!」
フラグ、早速回収してしまったー!
しかもドラゴンって…
1番最悪じゃねぇか!
「なに?という事は…
お前ら剣を持て!これからドラゴンの群れの殲滅を行う!
素材から討伐金まで全部狩った奴のもんだ!
行くぞ!!突撃!!」
隊のみんなが返事をするより速いスピードで駆けて行く。
ちょ、ちょっと待ってよ!
追い付いた頃にはドラゴンの群れとの戦闘が始まっていた。
群れの数は百位だろうか?
ドラゴンは後ろを向いた長い角にびっしり生えた鱗をもった首をのっけた
丸い豚みたいな身体を持ったドラゴンだった。
え、何あれ?
「あ、あの。こいつらって…」
取り敢えず物知りなウルグ君に聞いてみる。
「ああ、こいつらがドラゴンです。とても弱いんですけど繁殖力が強くて、その上畑の小麦を食い荒らすので国からそれなりの懸賞金がかけられている魔物です。頭を倒した印として持って行けば貰えますよ」
それなりの懸賞金…
ちょっと懸賞金欲しさに聞いてみた。
「ちなみに剣を扱えない人でも狩れるんですか?」
「胴体に剣を当てるだけで倒せるので初心者が良く狩っていますね。ちなみに奴らは攻撃して来ませんよ」
その話の『攻撃して来ない』を聞いた瞬間に俺は飛び出していた。
「ヒャッハー!ドラゴン狩りまくってドラゴン無双だぜ!」
この後、ドラゴンの群れは10分も持たずに殲滅されたらしい…