遅めの朝食
ひたすら武器や防具の欠陥がある物を分けていると食事係らしき人がやって来た。
「あの…よかったらこれ…」
その手にはリンゴのような果実とガラスのビンが握られていた。
「ああ、ありがとう」
「いえいえ、朝から何も食べていないと聞いてたので」
そういえばこちらの世界に来てから何も食べていないのである。
気が利く子だなぁ…歳は16くらいだろうか?
有難く、リンゴのような果実を一口食べてみる。
味と食感はまさしくリンゴそのものだった。ただ違う点が1つ。
種が入ってないのだ。
いいなコレ。異世界の果物ってこんな感じなのか…
「うまいな。そういえば君の名前は?」
「自分はウルグと言います。よろしくお願いしますね、マモルさん」
「よろしく。それにしてもなんで俺の名前知ってるんだ?」
「ああ、それはですね…」
話を聞くとどうやらケビンが隊の人達に話しまくっているらしい。
いちいち自己紹介しなくても良いっていうのは助かるんだけどな…変な噂とか流れないかな?
まぁケビンはそんな風に見えないから大丈夫だろう。
「じゃあ自分も仕事に戻るのでまた」
ウルグ、気の利く男の子だと憶えておこう…
おっと、俺も仕事を再開しないとな。
そういえば、弦が切れてる弓の張り替えをしないとな…えっと、とりあえず替えの弦はっと…木箱の底をを見ると弦が束になって置いてあった。
とりあえず一本だけやってみるか…
確か弓の握る所のやや下を左手で押さえて、右手で体重を掛けながら下方に押す…
あとは弦をかけるだけっと…
よしっ!出来た!
いや、ちょっと形が曲がってるな…
ちょっと調節してっと…これで完璧かな。
それにしても元の世界と、こっちの世界で弦の張り方って一緒なんだろうか。
ちょっとケビンさんに聞いてみるか。
あれ?ケビンさんどこにもいないな…
まぁ良いか他の人でも。
他の人に聞いてみると少し不思議そうな顔をされたが合っているらしい。
合ってるとわかったから、安心して作業が出来そうだ。この調子でどんどんやるぞ〜!
頑張った結果、早い内に弦の切れている弓は全部修理出来た。
残りの防具の修理とかも終わらせてしまって暇になったのでお呼びがまで剣を磨いていた。
様子を見に来たケビンさんが口をパクパクさせていたのは気のせいだろう…
気のせいだよね?