再就職
さて、歩き出したのは良いものもこの人達について行って大丈夫なんだろうか?
さっき隊長とか言ってたしな…どこかの国の軍なのだろうか?
あれ?じゃあ地味にヤバイんじゃね?
そんな不安が頭をよぎる…
いや、とりあえず情報収集だ。まずここがどこだか聞いてみる事にしよう。出来るだけ、感じの良さそうに…
「すいません、ここってどこだか知ってますか?」
おっさんAが不思議そうな顔をしてるな。マズかったかな…
「変な奴だなぁ…まぁ良いけどよ…ここはサウス帝国、帝国領にあるエルドの森だ。そんな事も知らないのか?」
「いや〜転んで頭を打ったみたいでね。いや〜アハハハハ…」
怪しい、我ながら怪しすぎる。
はぁ…まぁ、とりあえずここがどこかわかっただけ良しとしよう。サウス帝国ねぇ…薄々気づいてはいたが、やっぱりここは異世界らしい。て、事はエルフとかドワーフがいたり魔法とかが使えるのだろうか?
ちょっとワクワクしてきたな…
そんな事を考えてる内にテントがいくつかある広場が見えて来た。
「俺は隊長に報告しに行くから、ケビン。そいつを見張っておいてくれ」
「了解だ」
おっさんBが一番大きいテントに駆けて行く。
しばらくすると、おっさんBが迫力のあるいかにも隊長という感じの男を連れて来た。
「隊長、こいつが森で見つけた民間人です」
隊長と呼ばれている男がこちらを向く。目があって、一瞬ビクッとした。この男には正直に答えないとマズイ気がする
「ほう…お前名前は?」
「あ、はい。矢島 守です」
「マモル。お前にいくつか質問がある」
「は、はい。」
「まず一つ、お前はどこから来た?」
「日本の東京からです。」
隊長が首をかしげる。
「日本か…聞いた事のない国だな。
二つ目、お前何か得意な事とかあるか?」
自分の得意な事か…見た感じこの世界にパソコンとかは無さそうだしな…特にないなぁ…強いて言うなら手が器用とか?
「一応、手が器用です。」
「ほう…三つ目、武器の修理とかは出来るか?」
武器か。剣とか弓とかか?高校の時、興味本意で作った事があったな…修理くらいならうる覚えでも出来ない訳じゃなさそうだけど…
「頑張れば、出来ると思います」
隊長は少し考えて、こう言い放った。
「よし、お前うちの隊で働け。」
隊長は満足そうな顔で言う。
「…」
「「「はぁ?!」」」
「ちょっと!ドム隊長!何言ってるんですか?!」
おっさんBが異議を唱える。
「いや、何ってそのまんまの意味だけど?」
「そのまんまの意味って…」
「だってリアン。この隊に武器の修理とか出来るやついると思うか?」
リアンが混乱気味に「そりゃあ今は居ませんけど…」と呟く。
ドム隊長が満足そうにこちらを向く。
「まぁ、そうゆう事だ。引き受けてくれるよな?」
いや、流石にマズイだろ。ここは丁寧に断らなければ。
「いや、流石にちょっと…」
鬼みたいな形相に顔が変わる。
「えっ?何?俺の願いが聞けないのか?」
どっかのガキ大将みたいなセリフだけど、
迫力がヤバイ!コレ断ったら死ぬやつだ…
「い、いえ、やらせていただきます…」
俺は断るのを諦め、この隊の武器係として雇われる事になったのだった…