友達とは信頼から成り立つものではないと知った
「ねぇ使郎」
「なんだよ」
学校の授業が終わり帰る支度というか机の中の教科書やノートを乱暴に放り込んでいると然が話しかけてきた。こいつはいつも机の中に教科書などは放り込んだままだ。
「今日は私の友達を紹介しようと思うの」
「友達?」
「ええ、友達よ」
然の言葉に僕は絶句する。こいつは今なんと言った? 友達?
「お前、友達いたのか⁉︎」
「いるわよ、私のスマホはアドレスでいっぱいよ」
「マジでぇ⁉︎」
「この間電話帳を片っ端から入れて見たわ」
「それ、本当に友達か?」
「山田だけで800件あるわ」
「多いな!」
こいつ友達絶対いないだろ。いや、いたとしても絶対に性格破綻者に違いないだろう。
「ところで私の友達なんだけど」
「なんだ、まだそのネタひっぱるのか?」
珍しいくらい友達に固執するな。まぁ、兄としては嬉しいんだが。……決して僕がぼっちなわけじゃないからな?
「私の友達はどこにいったのかしら?」
「知らないよ! お前の友達!」
むしろなぜ僕が知ってると思ったのか知りたいよ。呆れたような目を向けると何故か然は首を傾げた。
「使郎は私の友達を知らないの?」
「一切合切、一片たりとも知らないよ」
「山田と言うんだけど……」
「また山田かよ!」
誰なんだよ山田。もうエージェントなんじゃないかと言うくらい名前だけ出てくるな。
「まぁ、山田は組織名なんだけど」
「嫌すぎる!」
「そんなわけないじゃない」
「頼む、会話をするという努力をしてくれ」
「で、友達なんだけど……」
「まだ続くの⁉︎」
今日のこいつ妄想力たくましすぎやしないかな。病院に連れて行くべきか?
「で、こちらが私の友達の夢見永遠恋愛よ」
「ども! しかリンの友達の夢見永遠恋愛です! 親しみを込めてユメリンと呼んでください」
「え、然は誰を指してるの?」
然が誰かを指差してるけど。誰もいないようだけど。
「いやいやいや! 私! 私っすよ! みんなのアイドルユメリンですよ! ねえ! しかリン」
「私はこんな痛い子知らないわ」
「違うぞ、然。そこには誰もいない、そうだろう?」
「そうね」
「いや、あのー、そろそれは私の存在をしっかりと認知して欲しいな〜なんて思ってるんですけど」
そうだ、然に友達がいるわけがない。僕だって片手で足りるくらいしかいないのに。つまり、然の隣にいるのは……
「幽霊か!」
「いや、人間っすよ⁉︎ 足ありますから!」
「最近のCGまじでやべぇな」
「そうそう、この足もCG技術でってちがぁーう! 学校でなんでCG使うんですか」
「悪霊退散!」
「ちょ! どっから塩だしてるんです⁉︎ 辛⁉︎ 痛! 目に、目に入ったぁぁぁ」
塩を取り出しかけると苦しみ出した。やっぱり悪霊か!
「普通の人は塩が目に入ったら痛がると思うッスよ」
「え、あなた普通だったの?」
「しかリン!? 私達って友達っスよね?」
「禁則事項よ?」
「ねぇ! お兄さん! 妹さんにどんな教育してるんすか!?」
ふ、責任転嫁かよ、。しかたない、ここはビシっと言ってやるしかないようだ。
「禁則事項だ」
「兄まで!」
永遠恋愛が絶句したような顔を浮かべてる。そうか、日頃、僕はこんな感じにいじられてるのか。
「私と永遠恋愛は一億と二千年前からの友達よ」
「そうっすよ! しかリンとは一億と二千年前から…… え、そうだったんすか???」
「おい、困惑してるぞ?」
「そういうこともあるわ」
相変わらずこいつとは会話にならない。
「しかリン、私たち友達じゃないね?」
「永遠恋愛……」
目に若干の涙を浮かべながらの訪ねてきた永遠恋愛を然は見つめると、
「永遠恋愛、私たちが友達になるには足りないものがあるわ」
「え、なんなの! しかリン!」
永遠恋愛がすがるような目を然に向ける。
「お金よ」
「それ、友達じゃねぇからぁぁぁぁ!」
思わず突っ込んだ。
「うん、まずは諭吉さんからだね!」
「お前も了承してんじゃねぇぇぇぇ!」
嬉々とした表情を浮かべながら財布から福沢諭吉さんを取り出す永遠恋愛とそれを無表情で受け取る然を見て僕は確信した。
夢見永遠恋愛はバカであると。
天白家は学校でも平和です(バカが仲間になった)
よろしければご意見・ご感想をお寄せください。
また、こういうネタでやってほしいみたいなものがあれば教えてくれれば幸いです




