0話 始まり
はぁ…。
どうしてこうなった。
高等科入学式になって御嬢様は嫌嫌とだだをこね始めた。
昨日まであんなにこの善の国コグシアナ王国、第一王子のコグアナ・アベル様の制服姿が見えると大はしゃぎなさっていたのに…。
あぁ、めんどくさい!!
多分クラスが絶対に違うから~だとか、バレたら怖いから~とか思っていらっしゃるのだろうが……。
確かに悪の国ルリシア王国の王女でありながらスパイでもある意味分からない立場であるのには同情します。
でも、意味分からない立場になってしまったのは貴方のせいでしょう?
コグシアナ様に一目惚れし頼んだのも御嬢様なのだから。
んまぁ、最初から御嬢様ということは決まっていたのですけどね。
理由は。
・金持ち学校に入学するため作法などを完璧にこなしているから
・魔力の弱さ
・年齢
ということらしいが、魔力はどちらの国も16才からしか使え無いし測れない。
なら、何故魔力の弱さが分かるかと言うと御嬢様が王家の人間だからだ。
ルリシア王国は、善の国の魔力の強い人間の反発がおき作られた王国。
一昔コグシアナ王国は、魔力の強い人間を奴隷として扱っていた。
それに不満を持った初代王は、魔力の強い人間と新しい王国を作ったとか。
なので、ルシアナ王国は、コグアナ王国の数倍は魔力が強いが、初代王が魔力の弱いお方だったのでその血が受け継がれている王家の方々は皆様方魔力が弱いのだ
コグアナ王国の人は魔力の強い人間が圧倒的に少ないので、魔力の強い人が入ってくるとルリシア王国の人間と少しでも思ってしまうから御嬢様が選ばれたのだ。
それの僕はお目付役を任されている。
我が家は代々王家に使える者で信用されているからだ。
魔力はルリシア王国でも上位に入るがなんとかごまかせと適当な事を言われているが最初からそのつもりだ。
と、説明はこれまでにして……
「御嬢様?どうなさったのですか?昨日までアベル様の制服姿が見られると喜んでいらっしゃっていたのに…。今日を逃すと見れなくなりますよ?」
「逆に見たく無いっ!!でも、エル君のは見たいし…」
「エル君?アベル様を見たく無いとは…。熱でもあるのですか!?」
「熱は無い!アベルとか我が儘で、自己中心な俺様王子だろうがーー!」
「んなっ!?御嬢様!本当にどうなさったのですか!!」
「どうなさったもなにも、転生とかなにこのノベル的展開!?乙女ゲームの悪役令嬢とか死亡フラグヒャッハー!じゃねーか!」
「て、転生!?」
「そう!転生。言うつもりはなかったけど言うね?私、実は転生者なの!今日知ったけど」
「は…はぁ?」
「信じれない気持ちもわかるわ。でも、編入学でボローレっていう女子がいるから…!」
ボローレ…。
編入学してくる子の情報は先生でも知っている人は少ない。
ボローレっていう女子が、いたら信じるしか無いとは思う。
いないと思うけど。
メディー・ボンドエル
ルリシア王国の王家に代々仕えるボンドエル家の次男。
我が儘な御嬢様に正直疲れている。