表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

ボス戦→始まりの街

こんにちは


必死にストックしてます。まっきーです

油性に近づきましたが、ストックがなくなりそうで汗が...水性にからさらに薄くなりそうです



「ふぁああああ!」


「うええええええ」



天地が魔法を発動させると、魔法の発生源の近くにいた紅凰と風音が悲鳴を上げた


それに驚いて天地はフレンドリーファイヤかと疑い、設定を確認


が、ちゃんとオフになっている。ではどうして叫んでいるのか?

首をかしげる天地、わけがわからないという顔


しかし天地は忘れている、『炎の大波』のもうひとつの効果を



「目が、目があああああ」


「焼けるぅぅぅぅ・・・・・・」



そう、中心地は炎の熱量も高いが、その分炎は眩しい光を放つのである

その結果紅凰と風音の目に強い光が映り、目を閉じる暇もなく悶え苦しんでいるのだ

天地は離れているため「眩しいな・・・」位にしか思わない

最初に使った時もその反応だったため、中心の光のことなど考えてもみなかったのである



紅凰と風音が目を抑えてのたうちまわっているところへ、女王蜂が飛んでくる


目の回復を待ってくれるほどボスは優しくないのだ

巨大な身体で紅凰と風音に体当たりをする


目がほとんど見えていない紅凰と風音は避けることもできず思い切り吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた


やはり女王蜂は強いのか、今の体当たりで目に見えるほどHPが減少した


さらに、毒攻撃も併せておこなったのか2人は『状態異常 毒3』となっている


徐々にHPが減少し、紅凰と風音のHPが半分を切った



天地は自分の攻撃で2人が使えなくなったのがわかると、焦った顔をする

例えるなら、イタズラが先生に見つかった子供、のようだ


・・・あまり反省はしていないようである



「・・・っく、目がちょっと見えるようになってきた」



風音がひとり、立ち上がる

毒の影響で少しふらついているが、周りは見えているらしい


紅凰はまだ目を押さえてばたんきゅーしている


いや、目をゴシゴシこすり立ち上がり・・・盛大にずっこけた

毒のことを忘れていたようで、ふらついた途端にバランスを崩した


2人ともちゃんとわかっているのだろうか、これは“ボス戦”なのだ



「うぉ、危なっ」



女王蜂の毒針が当たりそうになり風音がギリギリで避ける


毒針は壁に深く突き刺さり、壁をすぐに溶かしてゆく



「風音、紅凰、気をつけて。それ、毒3の攻撃だから」


「そーゆーことは早く言ってよぉ・・・」



紅凰がようやく立ち上がり小さな声で嘆いた


毒3、というのは毒のレベルを表すものである

MAXは毒5で、これは解毒しなければHPが0になるまでダメージを与え続け、平衡感覚がなくなり、五感のうち2つが使用不可となるものだ

しかも、解毒に必要な解毒剤がレア素材から作った毒消しなのだ


まぁ、初期で毒5の攻撃を使う敵など現れないのだが



そして、紅凰たちが受けた毒は毒3だ

これは、平衡感覚を失わせ、HPが三分の一になるまでダメージを与え続ける


なかなかやっかいな攻撃だ



そして、平衡感覚を失っているにもかかわらず立ち上がる紅凰と風音、人外認定してもいいのではないだろうか



「・・・よし、よし。かざ、目見える?」


「うん、見える。ちょいぼんやりだけど」


「もう動ける?」


「いける」



その言葉と同時に風音が女王蜂に向かって飛び出した

そして、その弱い部位であろう関節部分を狙って、スキル『一刀両断(スラッシュ)』で腕を切り飛ばした


そして、部位損傷がボスにも適応され、切り飛ばされた腕が光となって消えた



[―――――――――!!!]



女王蜂が顎をカチカチと鳴らし羽を今以上にばたつかせ高度を上げて飛んだ

その羽からは尋常ではない風と音が生み出される


その風に煽られて風音が後ずさった

踏ん張っているようだが、また、後ろに下がる



「・・・っく、」



さらに、女王蜂の起こした風はところどころ集まり始め、小さな竜巻がいくつも生み出された


ボスエリアの中を多くの竜巻が暴れまわる

風音はそれを後退しながら避けるので精一杯だ


じりじりと壁際に追い詰められる


避けているのもギリギリで、いくつものかすり傷ができ風音のHPを削っていた



「・・・紅凰!!」


「あいさー・・・。・・・ふっ」



風音が紅凰を呼んだ。すると、女王蜂の死角側で、壁を背にして風で煽られないように自身を固定し弓を構えていた紅凰


息を短くはきながら、鋭い矢が放たれた


わずかに輝く矢には、スキル『爆散』がかけられている


寸分違わずその矢は女王蜂の羽を貫く

そして、爆散が効果を発揮し女王蜂の羽をボロボロにした


羽を震わせることができなくなった女王蜂は地面に落下

さらに、鼓膜が破れそうなほどの爆音と小さな竜巻が全て消えてなくなる



「ふはは!みたかくおちゃんの弓さばき!」



紅凰が女王蜂の居座っていた、エリアの一番奥で仁王立ちして高笑い


キッ、と前を向くと再び矢を番えた

今度は何のスキルもつけず、ギリギリと(つる)を引き絞っていく



「はっ!」



気合を込め、矢を放つ

それを羽を失った女王蜂に当てるのにはたやすく、簡単に女王蜂の目を射抜き、突き刺さる



[―――!]



羽、続いて目をやられ怒り狂った女王蜂はターゲットを紅凰に変更する

すると横からすかざず小さな火の玉が飛び、ボロボロになった羽を全て焼き尽くした



「『ファイア』」



杖を女王蜂に向け、続けて『ファイア』

次々と火の玉が飛んで行く


魔法を続けて放つことはできないため、とぎれとぎれで女王蜂へのダメージは少ないが、気を引くのには十分だった



タタッ



女王蜂の後ろで足音



・・・ドッ



地面に何かを叩きつける音



慌てて女王蜂が周りをぐるりと見回したが視界に入るのは、自分を穿った狼耳の娘と、魔法を放ち続ける牙の生えた女



ではさっきの音は?


考え、気づく。居なくなったウロコを生やした女と、自分の今の“死角”に


ぐるりと周りを見た女王蜂の死角はひとつ、真上だけだ



「・・・はああああああ!『一刀両断』!」



脚力アップで上空に飛び上がり、大上段に刀を構える風音


腕力アップ、さらに『一刀両断』を発動



ドラグーンの身体能力に上乗せされたその攻撃の威力はHPが残り五分の一ほどになった女王蜂の命を刈り取るのには十分すぎた




[―――――――――――――!!!!]




断末魔のように顎を大きく広げ、ボス消滅エフェクトの仕様で羽、その他傷ついた部分が修復

精一杯その体を暴れさせ、きらきら輝く粒子となって消滅した



「・・・?」



紅凰たちは、ボス消滅が完了したにもかかわらず動くことができない

ムービーが続けて始まったようだ


空気中に舞う粒子がやがて一点に集まり始める


それは徐々に人の形を作っていき・・・


気がつくと、そこには輝かんばかりの美女が、胸の前で手を組んだ姿勢で立っていた

ハニーブロンドの髪は重力を忘れたようにふわりと揺れる

髪と同じ色のまつげがふるりと震え、黒曜(こくよう)石のような瞳が姿を現した


胸の前で手を組んだ女神の(ごと)き美女が視線をこちらへ向けた



それにはっと息を飲む・・・アクションをさせられる風音たち


ゆるりと微笑んだ美女は、こちらに歩み寄りながら語りかける



『・・・あなたたちが私の封印を破ってくださったのですね』



鈴の音のような声は、女王蜂の羽音で破れそうになっていた鼓膜をいたわるようにするりと耳に入ってくる


こくり、風音が頷く。これもアクションだ

まだ風音たちは動けない



『私は、あなたたちが倒したクインビーとともに、ここに閉じ込められていたのです』


『あのクインビーは私の封印の守護者であり、封印そのものでした』


『私は封印させる際に抗いましたが・・・戦闘能力を持たない私の抵抗は意味をなしませんでした』


『私の力を取り込んだクインビーは進化し、魔獣化してしまったのです』


『ですが、長い間待ち続けた甲斐がありました・・・あなたたちのように、勇気を持った方と出会えたのですから』


『私を救ってくれたあなたがたに折り入って頼みがあります・・・』


『私のように封印されている者を助け出してはくれないでしょうか?』


『私たちにはあなたの力が必要なのです・・・』



一通りのセリフをしゃべり終わると、彼女は一息ついた

その時、風音の目の前に『彼女たちを助けますか? YES/NO』という選択肢が現れた



そして風音は迷わず・・・『NO』を選択する

薄情なやつである


完全に面白さを追い求めていると見た


紅凰も天地も表情に出ることはないがその心を推し量ることは容易だ



「(えっ、断るの?ウケる、あの人のセリフどうなんのかな。進まないのかな?)」


「(えっ、断るの?馬鹿なの?早くストーリー進めろ)」



そんな紅凰たちの心もいざ知らず、女性は悲しげな顔をして言った



『そこをなんとかお願いできないでしょうか・・・』


『NO』


『そこをなんとかお願いできないでしょうか・・・』

『NO』


『そこをなんとかお願い『NO』』



かなり食い気味に断る。ひどい奴だ



『お願いです・・・お願いですから・・・』



『・・・YES』



『ありがとうございます、一度で了承していただけるなんて・・・すごく、心強いです・・・』



どうやらあの女性の中では風音が一回で返事をしたことになっているらしい



『クインビーを倒したことによってこのあたりの魔物は沈静化しました。どうか、あなた方に神の御加護があらんことを・・・』



それをつぶやき、胸の前で手を握りしめ、光の粒子になり始めた女性は静かに語った



『私は、26番目の女神メリッサ・・・どうか、あと25柱の女神をお救いになってください・・・』



最後に爆弾発言をして去っていった


そしてようやく体が動くようになった紅凰が叫ぶ



「あと25人も女神がいるのですかぁあああああああ!『たち』って言ってたから複数だとは思ったけど...えっ、多くない?ねぇ、多くないの?オンラインだからこんなもんとか言うの?言っちゃうの?しかもきっと隠しボスとか連戦とかあるんでしょ?知ってるよ?ゲームは鬼畜なものなんだって!くお、知ってるよ!!!!」


「なるほど、これで魔物の進行はなくなったのかな。くお、うるさい」


そして天地に殴られる紅凰

しくしくと泣きアクションを続けて崩れ落ちる



すると、風音がメニュー画面を開いた



「あ、やっぱり」



そのまま空中をタップしてメニュー画面の操作

何かを見ているようだ



「かざ何見てんの?」


「紅凰も天地も見てみ、メッセージが来てる」



頷いてメニューを開きメッセージの部分を確認すると紅凰と天地

確かにメッセージの部分にびっくりマークがついて点滅している


これの送り先が『風音;パーティ』になっていることからこの3人にしか転送されていないメッセージのようだ


ボス初討伐のプレゼントかなにかだろうか?

疑問に思い、紅凰はそのメッセージを開いた



「・・・初討伐者のあなたにプレゼント、必中の弓?」



メッセージを読んだ紅凰は思う、心底いらないと

大体紅凰は命中率アップなしでプレイしているのだ。それだけを聞くと何の縛りプレイか疑うかもしれないが、紅凰には必要ないのだ


それなのに、必中の弓など邪魔以外の何者でもない

ただ、初期装備よりも少し攻撃力が高いようだ


が、紅凰は既に装備は始まりの街最高の装備になっている

攻撃力での利点もなくなる


はい、邪魔



「えっ、てことはプレゼントは実質無し?」


「だねー」



風音と紅凰が話す

どうやら風音にもいらない何かが送りつけられたらしい



「ん、風音はこれー」



そういって見せてくれたのは両刃のロングソード

勇者が使ってそうな感じだ

しかし、風音は序盤の方は刀で行こうと思っているので使う気もない。刀の方が攻撃力が高ければなおさらだ


風音の装備も紅凰同様、始まりの街最強装備だ

どうせならアクセサリが来て欲しかったね、と愚痴を言いながら天地に向き直る


天地は、まだメッセージを開いていないようだった


メニュー画面を見て何かをひたすらに考えているようだ

何かおかしいところでもあったのだろうか



「どしたん?」


「・・・少し、おかしくない?」


「えっ、どのへんが?」


「初討伐での報酬なのはわかったわ。でも、ボスのドロップ品にすればいいじゃない。どうしてわざわざメッセージなの?」



確かにその疑問は最もだ

紅凰たちも自分のアイテムポーチを確認して、そちらにも初討伐報酬が入っているのを確認する


ちなみに、ボスドロップの方が優秀な装備だった

毒の小刀という状態異常発生の武器だったからだ


そして、疑問

ボスドロップに初討伐報酬があるのに、運営からのプレゼントでもう一つ送られているのか?


運営のプレゼントの武器の方が弱いことは、なぜなのか

プレゼントしてくるくらいなら、序盤では役に立つ武器が送られてもおかしくはないはず




疑問は深まる、何故、どうして



「・・・あれ、」



風音がメッセージの文章の最後に何かを発見したらしい

メッセージの欄を開いて首をかしげる


何度もウィンドウを消したりして確認しているが、それがなんなのかわからないようだ



「なんか、文章の最後にあるんだけど」


「どれどれぇ・・・」



紅凰が公開設定にした風音のメッセージ欄を見る

文章の最後には、黒く丸い何かと、その下に黒い百合が描かれていた



この模様は紅凰のメッセージにもあるようだ

そして、ほかの運営からのメッセージも確認する

これが運営のメッセージだというマークかもしれないからだ。しかし、どの運営のメッセージにもそんなマークは描かれていなかった



「・・・黒い、百合?」


「あとこっちは玉っぽい」


「それ多分太陽ウケる」


「笑ってんじゃねぇ」



途中で口をはさんだ天地を睨みつける紅凰

紅凰はわかっていない、自分がどれだけ馬鹿なのか


紅凰は馬鹿なのだ、非常に馬鹿だ

さらに、特技はエアブレイク・・・空気を読まないことです。まる。なのだ

決して名前の略称を考えることではない



「ってか、天地はメッセ見ないの?」


「なんかやな感じがする」



言いつつメッセージを開いている天地





・・・今、このボスエリアでは、3人がメッセージを開いている状態


・・・つまり、黒い太陽と黒百合が3つ揃ったことになる

少し厨二っぽいが気にしないで欲しい




―――――――!!!!



突然、言葉に表せないような轟音が響く

エリアの端を見ると、キラキラと粒子になって空気中に溶けて行く


なぜだかはわからないがボスエリアの崩壊・・・いや、消滅が始まっていた



「ちょっとちょっと!何?これ!」


「わっかんなーい。くお、分かんなーい・・・」


「アンタに聞いてない」



3人は話しながらも帰還石と呼ばれる石をアイテムポーチから取り出し具現化


それを使用して始まりの街のセーブポイントへ帰還した

戦闘シーン難しいですね...

そして、天地がやらかしました。彼女は反省も後悔もしていないです


そして、今回出てきたメリッサちゃんですが、実際に神話で蜂蜜を司る女神さまです

ちゃんと調べて出してます


でも、これからはちょっと女神様の選び方が雑になって行きます


いろいろ矛盾点あるかもしれないですけど...

仕様です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ