雪狐②
献血の話を聞いてきました
献血大事ですね・・・日本では常に献血者を求めているらしいですよ
まっきーはAB型です。不思議ちゃんだとよく言われます
ハッとした顔で天地が雪狐を見つめた
ガクガクと体を震わせる雪狐は、青い色だった瞳を赤く変え、尻尾が増えた
そう、増えたのだ
「ふああ、尻尾が3本・・・」
「これ、覚醒じゃね?」
風音はすぐさまひらめいたらしい
そう、これは『覚醒』といって、ボスモンスターの中にはこうして条件か整うと覚醒をして姿が変わるものがある
この時の覚醒条件はHPが半分を切ったら
なので、雪狐の倒し方はHPが半分を切っても変化したのに気がつかないくらい継ぎ目無く攻撃を浴びせかけるのが正解だった
先手必勝というやつだ
しかし、レベル差の事も有り、じわじわと削っていってしまったために雪狐の覚醒モードと本気の戦闘をすることになったのだ
まぁ、初見のボスだ。初めからうまく戦闘ができるわけはないのだが
カッ、と目を見開いて動き出す雪狐
その動きは今までの比ではなかった
残像が残るほどに動き、前面に出ている風音を翻弄する。時にはその鋭い一撃で風音のHPをじわりじわりと削っていた
しかしやられるばかりの風音ではない、自分の知覚能力を活かして雪狐の動きを先読みして動く
雪狐の動きを利用して刀を軌道上に置くことで雪狐の体に傷が増える
風音のすぐ左を走り抜けながら足で切り裂く雪狐、風音の体の左側には既に刀が添えられている。走り抜ける、切りつける
小回りを利かせて風音の体の周りをぐるぐると回る。風音は反対方向へ周り刀を大きく広げる。刀が雪狐にあたり、鋭くその肌を裂く
数回回ったあと風音の刀を咥える雪狐。そのままへし折ろうとしている
しかし風音はそれも利用して、自分の方にするりと引き抜きながら雪狐の口を切りつけた
「あれに入ったらくおたちが死んじゃうね!」
「そうね」
それを静かに眺める外野組
あの中に入り込もうとは欠片も思っていない。天地はかろうじて目で終えている程度、紅凰にははっきりと見えているが反応が全く間に合わない
紅凰に予測などという高度な技はできない
弓道の天才は予測しない。光の筋が見えるから・・・By紅凰
自分のできないことについて誤魔化さないで欲しい
そしてその入り込めない攻防は続くが、やはり雪狐のHPが多い
風音のHPだけが目に見えて減っているように思う
「・・・っおらぁ!!」
風音が最大の集中力で、ぐんと体を低くして雪狐の喉元に刀を刺して離脱した
息を大きくはいてポーションを飲む
雪狐は喉元を刺されたために声が出せないのか、頭を振り回して必死に喉の刀をぬこうとしている
「・・・で、風音はどうやって戦うつもり?」
天地が風音を見る
冷たい目だ。前衛がいなくなったのだ。面倒なことこの上ない
その目に対して風音はふふん、と笑い、紅凰からもらったステッキを取り出した
「これでやる」
ステッキをくるくる、と回すといつの間にか剣に変わったステッキ
刀ではないが大丈夫なのだろうか、紅凰が思う
その疑問を感じたのか、風音はニコッと笑って
「使ったことないけどなんとかなる!」
爽やかに言い放った
こんなのでいいのだろうか、パーティリーダーよ
ざっ、と雪を擦る音が雪の降る空間に響く
ようやく刀を抜いたのか一番深い傷である喉から赤い血を滴らせ、血で雪を染めながらこちらを睨みつける
風音の刀は粉々に破壊されている
「あーあ、風音の刀がー・・・」
それを見て悲しそうにつぶやいた。しかしそんな時間を与えてくれるわけがない
雪狐が風音に向かって飛びかかった
それを受け流して、先ほどのように一対一にならないように今度は風音が細かく動き回って雪狐の動きをできるだけ制限する
「なーいす、かざ」
ようやく矢の軌道が見えたのか次々と矢が雪狐に襲い掛かる
その全てに爆散が付与されており、雪狐の周りで矢が爆炎を上げる
その勢いを加速させるように竜巻状となった『ウィンド』が雪狐を襲った
視界が悪くなり風音がその竜巻の中から抜けてくる
やはり使い慣れない武器は扱いづらいらしく、ステッキに戻してしまっている
「あ、それ地面叩いたら大きくなるよ」
紅凰用に作ったものなので紅凰でも扱えるように軽量にしてある
それは大きくなったあとも変わらない
そして大きくなったことで威力がアップし、そのままくるくるっとすると大剣の出来上がりだ
「ほぉーこれなら行けるかな。さっきの刀と間合いも変わらないし・・・」
それを何度か振り下ろして頷いた
どうやらお気に召したらしい
「あっ、あと・・・」
「まだあんの?」
「傘になるよ!」
「なんでそんな無意味のことするの」
期待していたが故に落胆している風音
どおおおおおおおん
天地が黙々と竜巻を発生させていた地点から爆発が起こる
それはどうやら大きな氷が破壊された衝撃で起こったらしい
そこらじゅうに雪や氷が飛び散った
雪煙の上がる中から飛び出してきた雪狐。竜巻の中に居たからか毛並みが少し乱れている
「おっ、あと2500だ!」
HPゲージは残り少なくなっており、雪狐の目もそれに比例してかより赤く光っている
ゆらゆら、尻尾を揺らしながらこちらに近づいてきている雪狐
ある程度進んで止まると尻尾が今まで以上に不規則な動きで動き始める
「この動き見たことあるよ!」
紅凰が手を挙げて発言する
「これ、ぬ○孫の羽○狐の尻尾だよ!伸びるし刺さるんだよ!」
著作権もろもろが怖いので一応伏字をしておこうじゃないか・・・
紅凰が叫び終わった瞬間、その三本の尻尾は紅凰の言った通り空気を切り裂いて紅凰たちの元まで伸びてその体を貫かんとする
それをあえて一点に集まることによって尻尾同士をぶつからせて回避した三人
それぞれが的を絞らせまいと雪狐のフィールドを動き回る
風音はその素早さを活かしてぐるぐると雪狐の背後を取る
天地は風で自分の動きを加速しながら炎を尻尾にぶつけて着々とダメージを与える
紅凰は先ほど気がついた破壊オブジェクトである雪山に『四足瞬歩』で突っ込みながら尻尾を目くらまし、ついでにダメージを与える
「あれだよね、このダメージの与え方地味だよね!」
紅凰が緊迫感もなしに叫ぶ
しかしこの場面三人はギリギリで尻尾を避けているのだ
叫んだ紅凰はもちろん尻尾が耳をかすっていった
それに怯えながらも走り続けてたまに矢を投げる
もちろんダメージはほぼ入っていないが、気休めのようなものである
「天地ぃ、あとどれくらいなんー?」
風音が雪狐の背中を駆け上がって全ての尻尾の根元を踏みつけた
ばきっ、という音が風音の踏みつけた場所から聞こえる
風音の地面をえぐる踏み込みが発動していた
「あと『ファイヤ』5発ってとこ・・・ぉおおおおお!?」
天地のすぐ横を紅凰が駆けたことによりターゲットが一瞬だけ天地に移った
その瞬間を紅凰は見逃さずに素早く振り返って、雪狐のHPを大きく削った一撃を放った
「これで終わりっ」
まずその矢は紅凰を追いかけていた尻尾を貫く
次に天地を追っていた尻尾、最後に風音に翻弄されていた尻尾を一直線に貫いた
そして、
[クオオオオオオオオオオ!!!!!!]
雪狐のHPが0になり、吹雪がエリア内を吹き荒れた
著作権大丈夫ですよね
伏字しましたもんね・・・(不安