世界で一番の嘘
「す、好きじゃないよ」
急に口から出た。
好きじゃない?
なに言ってんのうち……
「本当に?!」
「………え?どーしたの?」
「私ね遼君のことが好きなの」
………………………………………。
え。
なに言ってんの陽希。
遼君のことが好き…………?
そんな。
叶わけないじゃん。
中学のときの友達に
可愛くないよねって言われた
"うち"
大人しくて、気配りができて、面白く、可愛い
"陽希"
叶わけない。
絶対120%叶わけない。
でも、好きなのに。
でも、陽希は友達だし。
「そ、そうなんだ。応援するよ」
昨日読んだマンガにも同じセリフがあった。
自分も好きなのにその事を隠して、
友達を応援する。
その子泣いてたっけ?
それならコクればいいじゃんって思ってたけど、
今のうちじゃん。
「本当にっっっっ?!ありがとう!ゆずちゃん!」
そんな満面の笑みで見ないで。
自分が恥ずかしく感じる。
「じゃあ、告白してくるね!」
……………………!!!
「も、もう?!」
早すぎない?
「思い立ったらすぐ行動っっっっ!!鉄則よ!!」
そう言って、陽希は走っていった。
一人残された、教室。
待っててねとかいわれてないから、
どうすればいいのだろうか。
音もたてずに、涙を流した。