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世界で一番のチキン
「ねぇねぇ、ゆずちゃん?」
「なに?はるき?」
「ゆずちゃんてっさ、りょう君のこと好き?」
「………え?」
急に何をいいだすかと思ったら……
遼君は、うちの前の席の子。
優しくて、かっこ良くて、少し頼りないけど、面白い。
はっきり言って好きだ。大好きだ。
でも、この気持ちを友達に告げる勇気なんてない。
告げてなんになる。どうせ冷やかされてばらされて
終わりだ。
告白する勇気もない。
どうせフラレる。
フラレるのは怖いに決まってる。
いつになっても一歩踏み出せない。
世界で一番のチキン。