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アタシの、本当の、気持ち(32)
「オヤジも、極端だなあ。」私は、呆れた。
「本当に、出世欲もなく、物欲もなかったのよ。
でも、おかげで、健康にだけは恵まれたわね。」
「そりゃそうだろう。」
「一方で、俊作さんは、見る見るうちに痩せて、
元気がなくなっていったというわ。
いつもイライラした感じだったってね
お父さんも言っていた。
一度、忠告したらしい。
でも、家族と自分のためだと言ってきかなかったらしいわ。
そんな時に、俊作さんを支える存在が社内に現れたのよ。」
「まさか・・・」リコさんが言う。
「そう、冴子さんのお母さん、圭子さんよ。」




