95/202
アタシの、本当の、気持ち(29)
「お父さん、口では『自分は高卒だ』と言っていたけど、
筑波大の理工学群を卒業していたから、
ウチの工場の製品や、生産システムについて、
ちょっと勉強するだけで、すぐに営業に生かせるようになったの。
だけど、ちっとも偉ぶるところがなくてね。」
「だから、母さんはオヤジに惹かれたんだ。」
「でも、お父さん、最初は律子さんに一目ぼれだったのよ。」
えっ、リコさんのお母さんの方?
「ああいうスレンダータイプが好みだったのよ。
だから、そっくりなリコさんがウチに来たとき、
ものすごく動揺しているのがわかったわ。」
「えっ、オヤジ、オッパイ星人じゃなかったのかよ? 」
「そりゃ私とつきあって好みが変わったのよ。
どうだ! 」威張られてもなあ。




