アタシの、本当の、気持ち(20)
「7月 +日
シュンへの定例報告。そして、感謝の言葉を伝える。
『いいんだ。オレは息子を助けることができなかった。
代わりに、オマエの娘が助かって良かったよ。』
『リコ先生には、オマエの気持ちは伝わっているとは言い難い。
オレからそれとなく、話してみようか。』
『いや、オレたちのことで、オマエを煩わせることはないんだ。』
『あのなあ、オマエは昔から、せっかち過ぎるんだよ。
なんでもかんでも即断即決。
頭がいいのは分かっているんだから、
もうちょっと考えてから、
答えを保留にしとくぐらいの要領を身に着けろや。
もう、いい歳なんだから。』
『そうだな、考えておくよ。
確かに、せっかちだな。
昔、リシの母親と離婚して、
今の妻を迎えたことも、拙速に過ぎた。
今から思えば、もっとじっくり構えておくべきだったな。』
『だけどよ、確かにあの当時のオマエはバカだったけど、
あのときのバカが、多くの他人を救えたと考えれば、
少しはオマエも救われたんじゃないか、と思うが。』
『ダメだ。 息子ひとり救えず、なにが父親だ。』




