アタシの、本当の、気持ち(17)
「ところで、ここから、どうやって調べるかだ。」リコさんは言う。
「オヤジさんの日記の解析は、
実咲に頼むとして・・・」と、リコさんが言いかけると、
京香ちゃんは、
「それ、私にも手伝わせてください。」
「なんで? 」と私が問うと、
「お父様、『特命』を受けていらっしゃったんでしょ?
私、働く人のメンタルヘルスを研究したいと思っているので、
そういう特殊な命令を受けて働く人の心理に関心がありまして。」
と、言う。
私としても、異質な意見というのは役に立つのかなと、
最近の『辺境クラブ』の活動を見ていて思っていたし、
京香ちゃんって、ポヤンとしているようで、結構鋭いんだな。
「いいよ、一緒にやろう。」と承諾した。
「リコ様、私から提案があるのですが。」と、シュウさん。
「私の前任の執事さんが、何か知っているかもしれません。
御当主様と、実咲様のお父様の関係。」
「そうか、あの男なら、知っているかもな。
なら、頼まれてくれるか。」
「御意。」
「あのう、私は何をすれば・・・」と、陽子さん。
「最も大切な任務を与える。」と、リコさん。
「それは、何でしょう? 」
「それは、我々においしい食事や菓子を提供することだ。」
「それで、よろしいのですか? 」陽子さん、ちょっとがっかりしたみたい。
「何を言うんだ。
腹が減ったり、
おいしい菓子で満ち足りた気分にならなければ、何ができる?
これほど重要な仕事以上に重要な仕事があるのか。
しかも、オマエ以外の誰にできるというのだ? 」
陽子さん、ポロポロ泣き出した。
叫ぶように「御意。」
力強く返事した。




