アタシの、本当の、気持ち(13)
「そう考えていたのなら、
なぜアタシたちを、
そして母さんを捨てた? 」
リコさんは、怒るというより、悲しそうだ。
私は、日記の続きを読み続ける。
「11月某日
オレの在宅勤務が決まった。
表向きは、会社での仕事を家に持ち込み、
成果をメールに添付するなどということになっているが、
実際は違う。
会社内部の様子をカメラで見ていて、
その映像がオレのパソコンに送信されてくる。
別に不正などの疑惑があって、こうするわけではない。
ウチの企業グループの主力製品のひとつ、
監視カメラの性能テストだ。
そのチェックをせよという会社からの特命である。
もちろん、リコ先生とウチのアホ娘の様子も報告することになっている。
シュンのヤツには、『給料、もっと上げろ。
それと、名刺、つくってくれ。
特命ヒラ社員とか、
隠密ヒラ社員とか、な。』と言っておいたが、
『目立ってどうする。』と却下された。」
「『監視カメラ』って・・・」私が言うと、
「そうだ。S高のプールに設置された、
あれも、あの男の会社で作られたものだ。」と、リコさん。




