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アタシの、本当の、気持ち(8)
「あのちゃらんぽらんなオヤジが、日記なんて書いてたの? 」
母さんに訊くと、
「悪いと思ったけど、読ませてもらったよ。
アンタがお父さんのことをどう思っていたかはしらないけど、
バカだと思っていたお父さんが、
私たち家族をどう思っていたか、よくわかったわ。」
声を詰まらせていた。
日記は、私が高校1年だった7月、
リコさんがこの家に来た時から書き始められていた。
「7月 ×日
今日から、リコ先生が、ウチのバカ娘のために家庭教師として来る。
会ってみて驚いた。
シュンから聞いてはいたが、
完全に『女』だった。
これほど見事に化けているとは。
想像以上だった。
シュンが男前であったから、
息子もある程度、美形であることは容易に想像できたが、
レベルが違い過ぎる。
こちらとしては、変に勘繰られないように、
バカおやじを演じるのに苦労した。
うまく、ごまかせただろうか。」




