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アタシの、本当の、気持ち(7)
あまり大きくないダンボール箱1つ、持ってきた。
「アニメのDVDとか、服とか以外のものが入っているわ。
あまり物欲のない人だったから。」
箱を開けて、黒い丸い筒を見つける。
卒業証書か何か、賞状を入れるような筒だ。
中身を出してみる。
『筑波大学 理工学群』
なんだよこれ。
オヤジの名が書いてある。
間違いなく、卒業証書だ。
オヤジ、とんでもねえ学歴じゃねえか。
いつも、「オレは高卒だ。」って言っていたじゃないか。
いつも私に、「頑張りすぎんなよ。
学歴は気にすんな。」って言っていたはず。
母さんに、「オヤジ、高卒じゃなかったのかよ。」
母さんは、「アンタにプレッシャーかけたくなくて、
わざとそう言っていたの。
私にも、『本当のことは、言うな。』って口止めしていた。」
なんて野郎だよ。
家族なのに、知らないことって、
ひょっとしたら、案外たくさんあるのかもな。
もうひとつ、奇妙なものがあったんだ。
『3年日記』
オヤジが日記をつけてたなんて、知らなかった。




