アタシの、本当の、気持ち(4)
リコさん、驚く。
「陽子、オマエ、知らなかったのか? 」
「私は、このログハウスには、シュウに言われてついてきただけで、
そもそも御当主にお会いしたことさえありません。
ですから、名前どころか、お姿さえ知らないのです。」
リコさん、ため息をつく。
「吉田俊作だ。
今に会わせてやる。
全く、オヤジもオヤジだ。
ブッキラボーにも、程がある。」
人のこと、言えたもんかなぁ。
案外、似たもの親子なのかもね。
「ところで、その吉田俊作氏、なんの会社を営んでいるの? 」
私がリコさんとシュウさんに訊く。
リコさん「知らん。」
アンタねぇ。
でも、私、ひらめいた。
「俊作氏について、実の息子さえ知らないって
そりゃリコさんもブッキラボーで、
他人に関心を持てないタイプだとわかるけど、
それにしても、不自然だよね。」
「まずは、そこから調べていくか。」
ベタな方法だけど、
スマホでググッてみた。
「なにこれ。
名前は平凡なのに、
それらしい人の情報、ひとつもないじゃない。」
「なんだと? 」リコさんも、ノートパソコンで調べ始める。
「おかしい、不自然なくらい、情報がない。
企業グループの総帥であるなら、
1つや2つくらいの情報があってしかるべきだが。」
「なんでもいいから、手がかりがほしいわね。」




