ほんとに、もう! (6)
さっきまで流暢に話していたリコさんが、
やたら動揺しているのがわかる。
「善処する。」
「たのんだわよ。来週、必ずよ。」
「何のことでございましょうか」執事シュウさんが口をはさむ。
「オマエには関係ないことだ。」ちょっとリコさん、口調がきつい。
「失礼いたしました。」シュウさん、黙った。
「済まない、シュウ、悪かった、つい感情的になってしまって。」
と、リコさん。
「お気になさらずに。」シュウさん、さすがに何事か察したようだ。
ちょっとニヤリとした表情の変化、私は見逃さなかったぞ。
「もうひとつ、訊いてもいいかな? 」と、私。
「3月が過ぎたら、私たち、もう会えないの? 」
シュウさん、陽子さんの視線が、一斉にリコさんに。
ところが意外に、リコさんは冷静さを取り戻した。
「心配するな、また会える。必ずだ。」
「だって、私、大学に進学するし、
アンタは卒業して家庭教師じゃなくなるんでしょ?
もう会えないじゃない。」
「そんなことはない。約束する。
今にわかる。それまでの楽しみとして、とっておけ。」
前作と合わせて、10万文字達成です。
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