「気を付け! 」があるから、「休め! 」がある。(5)
「リコ様、ふざけているんでいるのですか。」
「そうよ、真面目に考えなさいよ。」
「何をおっしゃるか、ご期待申し上げておりましたのに、
見損ないました。」
陽子さん、私、シュウさんから、ゴウゴウの非難。
なにを『しゃれ』にしているやら。
「いや、ふざけてなどいない。
ただ、『勉強』という言葉が、
世俗にとっては敷居の高い言葉なのだと思ったのだ。
アタシも、
世俗での生き方を忘れていたようだ。」
リコさんは、続ける。
「『辺境クラブ』とは、とぼけて聞こえるかもしれないが、
我々学生から見たら、
『辺境』にあるようにしか見えない、とるにたらないことから
学ぶことが、
世界の真実につながるような気がしてならないんだ。
だから、『辺境クラブ』という名を考えついた。」
わかったような、わからないような、妙な理屈には私には思えたけど。
「先ほどは失礼いたしました。
リコ様にそれほどの深いお考えがあったと、
考えが及ばず、この陽子、感服いたしました。」
陽子さん、泣いている。
いいのか、これで。
シュウさんは、というと、
陽子さんの横で、さめざめと泣いている。
いいのかこれで。
私は、なんとなくモヤっとした気持ちで、
この『辺境クラブ』の再始動を見つめることとなった。




