それぞれの選択(6)
月曜日、まるで何もなかったかのように、
いつもの『辺境クラブ』のメンバーがそろった。
しかも、『今日は練習休みだ。』と言って
華菜さんまで参加してきた。
「オヤジたちは吉田グループとの結びつきの強化を考えて、
アタシらのうちだれかをリコ様に嫁がせようとしたが、
アタシたちはそんなことは望んでいねえんだ。
こっちの小暮姉妹も同じことだ。」
ふたりとも、うなづいている。
「そこでだ、
アタシらは手足となって、
リコ様がやりたいことの実現に力を貸す。」
「そのためには、
実咲様、アンタが正妻だということは認めてやる。
あの日、二人で飛び出したあと、
よろしくやってきたんだろ? 」
「どうして知っているのよ? 」
「アタシらの情報網を、ナメたらいかんぜよ。
アンタらが何舐めてきたかまで、お見通しさ。」
何言ってんだ。
私もリコさんも、耳まで真っ赤。
「まあ、アンタが正妻というのは、認めざるを得ないな。
アタシらは愛人として、
時々リコ様を使わせてもらう程度でいいからよ。」
無茶苦茶だ。
しかし、リコさんは冷静だ。
「それは、お前たちの働き次第だ。
対価は払うが、出来にもよるな。」
「よっしゃ~、交渉成立。
アタシは独自の情報網と、
法律の知識で、
アンタらに力を貸すぜ。」
華菜さんは無茶言うけど、
わりとあっさり、引いてくれるところもある。
「あのう、私たちは、どうすればいいでしょうか? 」
京香ちゃんが訊いてくる。
「この『辺境クラブ』にいて、楽しみを見つけることだ。
そのうち、自分の『得意』が見つかるさ。」




