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それぞれの選択(3)
「あんたら親子の話はどうでもよい。」華菜さんのお父さん。
「あら、そうかしら? 」母さん、すかさず反応。
「株主第3位の娘に、
吉田家当主の息子さんの嫁候補の優先権があるとは、
お思いになられませんこと? 」
母さんの憎まれ口は、ここでも冴える。
「もっとも、
ここにいる女装趣味の変態息子さんは、
会社もグループも、
何もかも関係なさそうですけどね。」
「というわけだ、愚息よ。
そもそもオレは貴様に会社を継がせる気は、
まったくない。
そこの株主第3位の娘とやらと結婚しようがどうしようが、
それでも会社経営を任せる気もない。
大学卒業までは面倒をみてやるが、
その後は好きにしろ。」
俊作さん、売り言葉に買い言葉だな。
するとリコさん、私を、
いわゆる『お姫様ダッコ』にしやがった。
「ありがてえ、
ならば、勝手にさせてもらうぞ、
オヤジ。」




