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幸せとは、なんだ?(9)
食べ終わると、食器洗いだ。
母さんと、リコさんが台所に立つ。
「陽子と実咲は、休んでいろ。」ここもリコさんが仕切る。
逆らう理由もなく、私たちは食卓でお茶を飲む。
つくるときにコキ使われていた陽子さん、やっと一息つけた。
並んで食器を洗っているリコさんと母さんの後ろ姿。
母子でないのに、本当の母子のように見えてしまう。
肉親と接していた日々が圧倒的に少なかったであろうリコさん、
オヤジや母さんのような、実の親とは真逆の性格の人と接することで、
どんな化学反応が生じるのか、
こういうのも『辺境クラブ』の良さだと思う。
「ここ数日で、アタシが知らなかった、
両親の若い頃のことがよく分かった。
本当に感謝しています。」
リコさんはそう母さんに挨拶して、帰って行った。