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幸せとは、なんだ?(3)
「何を先代執事は、強調していた? 」リコさんは先を促した。
シュウさんは、
「『リコ様母子の支援を最優先させよ』というのが、
御当主さまの指示だったこと。
あのようなことは、社員の中であってはならない、ということを
何度も強調されていました。
話し終わった後、晴れ晴れしいお顔をされていました。
ずっと抱えていらした思いだったのでありましよう。」
「ところで、これからどうするの? 」
私はリコさんに尋ねてみた。
「どうもこうもない。
流されるままだ。
アタシ自身には、財力も権力もない。
オヤジが気に入らないからといって、
ここを出ていくだけのものもなく、
支援を打ち切ってもらうこともできず、
何の力ももっていない。
かといって、オヤジの跡を引き継ぐのも嫌だ。
だから、当面はこのままで行く。」