幸せとは、なんだ?(1)
お昼になった。
「母さんの得意料理、食べてってよ。」
3人が食卓につく。
焼餃子だ。
大き目で、肉も野菜も具だくさん、
皮がまた薄すぎず、厚すぎず。
「結構、食材をここまで揃えるのは大変なんだよ。」
私はリコさんに話す。
「美味しいな。」
リコさんが一言。
「ねえ、そういう恰好してるんだから、
ひとつくらい得意料理とかないの? 」母さんがリコさんに話しかけると、
「チャーハンだ。
昔、母さんが教えてくれたんだ。
包丁の使い方から、初歩から教えてくれたんだ。
ベタつかない、パラッとしたチャーハンの作り方を
教えてもらったんだ。」
「すごいじゃない。なかなかパラッとしたのは作るの大変なのよ。」
「母さんは、東京の蒲田というところの出身で、
あの駅周辺は、今はどうだか知らないが、
中華料理の店が多かったんだ。
母さんの実家は、そういう店を営んでいた。
本格的な中華を学んでいたらしい。」
「そうなんだ。」私がそう言うと、リコさんはまた涙を流した。
「それなら、」母さんはつぶやいた。
「来週は、リコさんに、そのチャーハンを作ってもらおうかな? 」