ほんとに、もう!(1)
・これまでのあらすじ
私、大野実咲は、ある『事件』をきっかけに高校中退、
しかし、、リハビリ期間を経て高卒認定試験に合格した。
家庭教師の美貌のメイド(実は男! )のリコさんの力を借りて、
近隣の白鷗大学に合格したのだが。
合格祝いに私のオッパイを揉ませていたのに、なぜか逃走したのだった。
なんだったのよ、もう!
「女の方が、『もうどうにでもして! 』って、
まな板の上に乗っかっているのに、
帰るかなぁ、普通。」
母さん、下の階にいたにもかかわらず、
何かを察したようだ。
こんなこと、リコさんが帰ってから言っていたんだ。
さすが、まだまだ女の勘に衰えはないぜ。
だけど、「また来週も来ます。」と言い残して帰ったのは、
希望があるかな。
その日のうちには、何が起こったのか、
よく、分からなかった。
ただし、翌日、私の部屋の中で、
栗の花の匂いがほんのりしていたのに気づいたのと、
なぜか恵方巻を無理やり食べさせられる夢を見たような、
そんな気がしたから、
なんとなく、察した。
リコさんも、若い『おとこのこ』だからね。
1週間、ごろごろしていたら、
すぐに土曜日になった。
受験勉強していた頃と比べて
時間の進み方が速過ぎる。
むしろ、受験勉強の時の方が、
やたら遅く感じていたのか。
リコさん、先週のことはなかったかのように、
しれっと来宅。
私を車に連れ込んで、
リコさん、執事シュウさん、私の3人でおでかけ。
シュウさん、段取り良すぎ。
「この1週間、実咲様に似合うスーツを古河市内の全ての専門店を巡って
調査いたしました。
この1着がベストでございます。」
店に着くなり、この手際。
私も長々といろんな店を巡ったりするのは嫌いなので、
もうこのスーツに決定。
試着して、『お直し』の契約をして、
さっさと店を出た。
20分もかからなかったのでは。