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隠滅の森  作者: 箕宝郷
中学校生活と川の流れ
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中二病と言う名の自傷行為

 「あれ?裾長(すえなが)君?こんな所でどうしたの?」声の主は多分アヤさんであった。二度とアヤさんとは関わらないと心の中で誓っていた私にとってあってはならない出来事であった。私はアヤさんを見ないように声のする方向には決して視線を向けないようにした。不幸にもアヤさんは私に絡もうとして「へぇ~裾長君、こういうの興味あるんだ。」その瞬間、私は怒りのあまり「うるせえ早く失せろ。」と大きな声で怒鳴った。アヤさんは驚いた様子で「ごめん、でもすそ....」と言いかけた時、私は追加で「お前のせいで俺は精神的におかしくなったんだ。早く、俺の前から消えてくれ。」と今度は目を瞑りながら言った。1分ぐらいして目を開けるとアヤさんの姿は無かった。他のお客さんから「あのー大丈夫ですか?」と心配そうに声を掛けてくれた。「いえ、少しいや事を思い出してしまって...大丈夫です。」と返事して私は本屋を立ち去った。

 あの時、一度も相手の姿を見ていなかった。だが、私は声だけで「アヤさん」だと特定してしまった。本当は「アヤさん」ではない女性だったのかもしれないのに....当時しょうもない意地を張っていた私は帰宅途中、本屋での行動は尊考教の教えに反していないかいるかどうか記憶の中にある文章を思い返していた。

 次の日以降、私は殆ど誰とも話さなかった。私の記憶では「発言は自らの品位を落とす行為である。」と記載されていたからだ。無言でいることは全て行動によって表現する。他人はその行動一つ一つに意味合いを感じるようになり、雰囲気が生まれる。雰囲気はいつしか評価へと変わる。その評価の最高位が「神」であると考えていた。しかし、その考えは正しくないと証明してしまう出来事が起きた。

 中学校生活の間、無口な私は神々しさと言う雰囲気は一切感じられなかったという。むしろ不気味で話しかけても無視されるという悪魔キャラとなり、あだ名も無男(むしお)となずけられた。これも全部神になるための試練だ。私は、そう心の中で言い聞かせていた。黙っていれば結果は得られる。確信していた。

 しかし、学校生活で結果を残すことが出来なかった。勉強も部活も頑張ったつもりだったのに部活では引退まで常に応援役であった。学力テストでは、中間より下の成績であった。「神になるための努力」は全て無駄だった。

 3年の夏に担任と叔父と私で三者面談を行った。普段より担任からいつも「もっと元気よく挨拶しろ」とか「コミュニケーションをもっと取らないと、思い違いで将来後悔することになるぞ!」ってよく言われていたので正直、叔父の前でも同様の事をいわれるのだと思っていた。

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