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隠滅の森  作者: 箕宝郷
中学校生活と川の流れ
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断片の教え

 入学式終わった後に教室に向かい、顔合わせを行った。中学校では、制服がある為、服装によって自分を表現することが困難であった。だから、私は自分を磨くために部活動に励むことを決意したのだ。

 自分で言うのもなんだが小学校5.6年の頃は結構モテモテであった。私は女性にチヤホヤされることをあまり、良く思っていなかった。それは、アヤさんが女性を信用するとロクな事が無いと、身をもって教えてくれたからだった。しかし、モテるという事は今を生きる女性からの一定評価を与えられている事に変わりはない。女性達とは一定の距離を保っていたものの。自己肯定感の向上には欠かせない存在ではあった。これは尊考教の教えには反していた。普通に考えれば、気にする必要も無かったのだがどこか罪悪感を感じていた。

 入学式翌日の日より私は野球部に入った。特段野球が好きで入った訳ではなかった為、プロ野球の話題などの野球の会話について行く事が不可能であった。部員たちにかなり不思議がられていたが私は気にも留めなかった。4月中は仮入部と言う扱いであったため先輩方の練習とは違うお試しメニューを行っていた。お試しメニューのはずなのにとてもきつかった。私は体力に自信があったのでかなり落ち込んでしまった。帰宅後、無意識に尊考教の本を読みたくなり、部屋中を漁ったが見つからない。恐る恐る叔父に聞いてみると「あぁ、あの本はもう捨てたよ。」と言ってしまった。私はひどくショックを受けた。速攻で中古の本が無いかインターネットで探したが見つからない。もう、ダメだと思ったその時、ある文が書いてあることを咄嗟に思い出した。

「経験は生物全てに与えられた権利である。」 

生きている以上この経験する権利は残されている。だったら、聖典に頼らずに経験をとにかく積もうそう考えたのだった。

 次の日以降、「質の良い経験」を積むために必要最低限以外の会話はしないことにした。いかに自分で幸せを得るかと言う考えもあったが、下らない話で貴重な時間を邪魔されるのが嫌であった。私は「無口な優等生」を当時は目指していた。その考えは間違いないと感じていた時期も確かにあった。4月の仮入部期間が終わり正式に野球部に入部した時、顧問から「お前は新入部員の中で一番謙虚で真面目な奴だ」と言われた。その言葉は何よりもうれしかった。

 しかし、尊考教を知りたいという欲は無くなっていなかった。GW期間は勉強の為、図書館や本屋に行くことが多かったのだが、本が多い場所に行くと何ら力で哲学、宗教学のコーナーで尊考教の本を探してしまった。

その姿をあの人に見られてしまった。

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