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隠滅の森  作者: 箕宝郷
青春ポリフォニー
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椹冬からの宿題

 椹冬(さわらふゆ)はしばらく外へ出かけた後、一本の盆栽を持ってきた。私は「見せたいものってこの盆栽ですか?」と言ってきた。椹冬は「はい。そうです。この盆栽を見せたかったのです。」と答えた。

 椹冬は続けて「この盆栽は梢子さんから生前頂いたものです。ドイツから帰国した時にお土産として頂きました。あの時からもう20年近く経ちますがまだ元気に育っております。毎日、毎日水を欠かさず与えるたびに今も梢子さんの事を思い出します。」と懐かしそうに語った。私は椹冬の態度を見て違和感を覚えてつい「住職は母の事好きだったんですか?」と聞いてしまった。すると叔父が慌てて「バカ浩太そんなことを聞くんじゃない。」と怒られてしまった。しかし、椹冬(さわらふゆ)は笑いながら「浩太君、面白いこと言うね。確かに僕は梢子さんの事を好きだった。いや、愛していたのかもしれない。」と答えた。叔父はすごく気まずそうにしているその瞬間、すべてを察し気まずくなった。椹冬はこの気まずい空気を物ともせずに「浩太君に宿題だ。この木の名前を調べてきなさい。きっと学校生活にも役立つから。」と言われた。 しかし、樹種の名前を覚えた所で何の役に立つのか?私は住職の言葉を理解することが出来なかった。

 その後、私は寺を離れて自宅へと帰った。これから、高校入学に向けての準備が始まる。当時、高校生活はとても楽しいものだと思っていた。その為、春休み期間中は常に気持ちが高揚していた。

 春休み中小学校の同窓会的な行事があった。私は、この行事に参加した。私はとても緊張していた。小学校時代の記憶はあまり良い記憶がないからだ。故郷をなくした記憶、いじめられた記憶、()()()の記憶。どれも思い出したくない記憶ばかりだ。カイ君のために参加したのはいいものの、気分は落ち込んでいた。逆にカイ君に気を遣わせてしまったようで申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。同窓会ではカイ君以外とは殆ど話さずに終わってしまった。もう二度と小学校時代の親しい友人とは会わない。そう心に誓った。出来事であった。


 4月を迎え入学式の日を迎えた。相変わらず電車で行くと少し遠く感じた。これから毎日、電車で通学と考えると不思議な気持ちになった。叔父は「ついに浩太も高校生と何度か口にしていた。」

 音印高校は普通科と音楽科の2つあり、入学式の雰囲気は普通科と音楽科で全然違かった。普通科の生徒たちは皆とても真面目ですごく静かな雰囲気があるが、音楽科は2極化している。同級生たちを見るとやっていけるのか少し不安になった。

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