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隠滅の森  作者: 箕宝郷
中学校生活と川の流れ
19/27

下流(近づく目的地)

 私は帰り際に「今日はありがとうございました。」と楽田さんに言うと「いえ、国語辞典を貸していただいてるお礼です。」と言われた。(全然、感情が無く)と思いつつ私は帰宅した。

 翌日も、私と楽田さんは一緒に自習をした。私はずっと気になっていた事を楽田さんに質問した。

「楽田さんってどこ小学校出身ですか?」


「私?私は第二小学校出身ですよ?」


私と同じ第一小学校ではなかったため、思わず「違うじゃないか」と言ってしまった。すると楽田さんは

笑いをこらえながら

「あら、据長さんの予想はずれてしまいましたか?」


「....んまぁ」


 私は恥ずかしさのあまり、言葉が出なかった。私はカイ君の態度だけを見て完全に楽田さんはアヤさんだと思っていた。顔も似ていないし、性格も全然違う。なのに、なぜ私はカイ君の反応だけを見てアヤさんだと確信したのか?思い返せば思い返すほど恥ずかしくなってきた。止めを刺すように楽田さんは「もしかして、据長さんが私と勘違いなさったのって....」と言いかけた時、私は、「ごめんなさい、これ以上言わないでください。それよりも、勉強しましょう勉強。」と言って場を濁した。私は恥ずかしくなり、この場から逃げたかったが、ここで逃げると楽田さんの誤解が広がると考えてこの日も楽田さんと一緒に自習した。

 その日以降も私は自習室で勉強していた。気温が低くなり寒さが一段となるにつれて自習室で勉強する人も段々増えてきた。そのせいか?私と楽田さんは互いに教えあっている様子が他の人にも見られるようになり、仲の良い2人として知られるようになり、冬休み入る頃には噂は拡大していた。

 2学期最後の登校日、通知表を渡された。(おっ、1学期の時よりも成績が上がってるこれは、叔父にも褒められるし、留美先輩との約束も守れそう。)と少しワクワクしていると突然声を掛けられて「おっ、据長ってお前、めちゃくちゃ成績がいいじゃないか。」と言われて私は慌てて「別にいいだろ。」といいながら通知票を隠した。「まぁまぁ、そんなムキにならんでもいいじゃないか。そういえば、据長はクリスマス楽田さんと過ごすの?」と急に彼は話題を変えてきた。「いや特段行く予定はないかなー」と答えると、驚いた様子で「お前たち付き合ってるのに?」と言われた。すると近くにいたカイ君が唐突に「それは絶対ない」と教室全体が少し響く、くらいの声で言ってきた。その瞬間クラス全体の目線はカイ君に向けられた。3秒ほど経過した後、「急にどうした?」とカイ君に心配して声を掛けると「いや、ごめんなさい。ちょっと、びっくりしたから大きな声出しちゃった。」と弁明していた。冬休み前最後に起こった不思議な出来事であった。

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