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隠滅の森  作者: 箕宝郷
中学校生活と川の流れ
17/27

下流(時に休みを覚えて)

 この日以降、楽田さんと放課後、勉強する毎日が続いた。次第に楽田さんと話すようになり、次第に仲良くなっていた。夏休みのオープンキャンパスから一か月が過ぎてもう季節は秋になっていた頃、カイ君から声を掛けられた。


「浩太お前最近、元気か?」


「まぁ、最近ぼちぼちかな。急にどうした?」


「ごめん。浩太夏の大会最後だったのに、レギュラーメンバー外されたりしてたから少し気掛かりで。」


「あぁ、俺には野球が合わなかっただけだから別に大丈夫だよ。」


「そう、それなら良いけど。」


「なんだ、話ってそれだけ?」


「いやーその最近お前自習室で放課後勉強してるじゃん。」


「はっ、はい」


「その、楽田さんって方もいるの?」


「カイ今日お前、変だぞどうしたの?」


「いや、いつも自習室にいるのは大体その二人だからどんな雰囲気なのかなって」


「あぁ、んまぁ堅苦しいところもあるけど、結構話してみると明るくて面白い人だよ。んまぁ顔はタイプじゃないけど。」


「そ、そう....」


「もし、あれだったらカイも自習すればいいよ。」


「いや、俺はいいよ家で勉強したしたいから。」


「なんだよそれ...」

 この日、カイは挙動が少しおかしかった。小学校の卒業式の帰り際の時を思い出した。私に何を言いたかったのかこの時の私には理解できなかった。

 その日も自習室で楽田さんと国語辞典を開いて一緒に勉強していた。私はずっと気になっていたことを聞いてみた。


「あのー楽田さん。一ついいですか?」


「据長さんどうかしましたか?」


「あのー楽田さんってなんでスマホとかインターネットで検索できることを私の国語辞典を使うのですか?」


「わたくしは、インターネットよりも国語辞典の方が信用できるからです。」


「信用?どういう事?」


「据長さんは、インターネットで調べましたというのと国語辞典で調べましたと言われた時、どっちを信用しますか?」


「それはインターネットで調べたほうでしょ。」


楽田さんは驚いた様子で私に反論した。


「しかし、インターネットは虚偽の情報も多くあって信用できない部分も多いのでその点は国語辞典の方が信用できると思います。」


「いや、しかしインターネットの方が最新の情報が入るし様々な文献のものを一挙に読めますよ?それに楽田さんは検索の仕方下手くそなんじゃないですか?」


「下手くそって....でも国語辞典は楽しめますよ?不意に知らなかった用語を知ることが出来るから、幅いろい知識を得ることが出来ますよ?」


「楽田さん。ネットサーフィンって言葉知ってますか?」


楽田さんは涙目になりながら「じゃあなんで据長さんは国語辞典を読んでいたのですか?矛盾してますよ?」


私は「叔父に買ってもらったから少しは読まないと失礼かなって思って。」


すると楽田さんは「最低....」とだけいってその場を後にした。




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