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隠滅の森  作者: 箕宝郷
小学校生活と事件
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始りは地元配属から

 森林庁入庁4年目僕は、大学進学以降久しく地元を離れていた。3月、私は部長より内示を受けて上鷹鳴育林事務所への配属が決定した。僕はこのことを高校以来交際している彼女(彩芽)に伝えると彼女は大いに喜んでくれた。もちろん地元に配属になるのは僕も嬉しかった。その嬉しさには別の意味があった。僕の地元は常城市の山間の集落「上鷹鳴(かみたかなり)集落」という場所で生まれた。私はこの上鷹鳴集落でのどかに暮らしていた。しかし、その日常はある日突然奪われたのである。

 僕がまだ小学校2年生のときであった。僕は遠足で市外の動物園に出ていた時であった。この日は天気がとてもよくてピクニック日和であった。同級生達と人生で初めて見る動物たちに興奮していた。しかし、学校に戻ると校長先生が「据長 浩太(すえなが こうた)くん落ち着いて聞いてほしい君が帰る家は無くなった。」当時、私は何を言っているのか理解が出来なかった。続けて校長先生が「浩太君のおうちは災害によって埋もれちゃったの....」と言っていた。通常、16時になるとスクールバスに乗り、帰宅するが今回はずっと学校に居残りをしていた。先生は両親の安否を確認していたが、確認を取ることが出来なかった。

 結局、僕は母の弟である叔父に引取ってもらった。叔父に引取ってもらった時はもう日をまたいでいた。

その日は学校近くのホテルに泊まった。帰る家も場所も無くした私は遠くにある叔父の家で暮らすことになった。急遽転校することになってしまい、僕は小学校の友人達とお別れの挨拶もする余裕が無かった。

 私は都会の狭いアパートに引っ越した。叔父は警察官で独身であった。今まで住んでいた家とは違い、部屋は狭くかなり散らかっている。いつも母と祖母が手作りの料理を振舞ってくれていたが、叔父は仕事が忙しい為かそんな事は一切してくれなかった。毎日、冷凍食品やコンビニの弁当ばかりであった。

 1週間後、僕は都内の学校に転校した。家にいる家族はまだ行方不明で僕はずっと心配していた。しかし、叔父は「浩太明日から学校なんだから、いつまでもくよくよするなよ。友達に笑われるぞ?」と言ったおじさんはどこまでも薄情で自分の事しか考えていない人だと私はその時実感した。

 僕は転校先の学校でいじめの対象になっていた。田舎者であることやいつも落ち込んでいることなどでいじめられていた。一番遊びの話題になるといつも僕は会話に入ることが出来なかった。仲良くなれる友達がしばらくできなかった。いじめられている時、僕の脳内は故郷の景色、家族、そして友人たちの顔を思い浮かんでいた。

 続く

 

 

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